ネプラス・ユー2020 #02
「ブランドと販促を対立構造にしない」サントリー、ダイキン、ライオン、日産のキーパーソンで議論
2年目を迎えたマーケティングフォーラム「ネプラス・ユー」が9月15~18日の4日間にわたって、オンライン開催された。本記事は、初日に行われた人気セッション「ブランド VS 販促 利益を生むのはどちらだ」のレポート後編になる(前編は、こちら)。
大手メーカーでブランドマネジメント、あるいは販売促進などを担うスピーカーが、企業の中でしばしば起こる「ブランディング施策と販促施策のどちらが重要か」という論争に切り込んだ。
大手メーカーでブランドマネジメント、あるいは販売促進などを担うスピーカーが、企業の中でしばしば起こる「ブランディング施策と販促施策のどちらが重要か」という論争に切り込んだ。
ブランディングで価格競争からの脱却目指す
(前編は、こちら)販促とブランド、双方の必要性を説いた2人に代わり、ダイキン工業の片山氏は、「双方が必要なのは当たり前。しかし今のエアコンにおいては、販促よりもブランドを重視すべき」と、断言した。
エアコンの購入頻度の平均は、13年に1回。そのうえ、壊れたときに1週間程度という短い検討期間で買い替えるケースが多く、現場の販促施策がどのブランドを購入するかの意思決定に影響すると思いがちな傾向がある。
「そうなると、どうしても販促活動に傾いて、放っておくとそれだけになってしまいます。しかし、販促活動だけにお金をかけたり、価格を下げたりする方法ばかりでは、利益が増えません。だから批判を覚悟で、あえてブランドの価値が高いと言い切る必要があるんです。ダイキンのエアコンを欲しいと思う人の母数を増やしていく中で、販促手段と組み合わせて最終的にお客さまに選んでもらうことを目指さなければなりません。そういう意味でも、ブランドが非常に重要だと思っています」(片山氏)。
一方で、片山氏もライオンの横手氏と同様に「ブランドと販促を対立構造にしないことが大事」と説く。
「丸が重なり合うベン図で言えば、できるだけブランドと販促の2つの丸が重なる領域を増やしていくことが重要です。というのも、コミュニケーション設計のとき、延長線上に販促を意識せずに、何となくかっこいいイメージでつくられたブランド広告が多いためです。それがいわゆる販促派の人からすると、『売る責任も背負ってないくせに、大金だけかけて広告をつくっても、それさえ2年で変わるんだろ』と思わせる、業界の悪しき風習をつくっているのも事実です。ブランド派閥は、そこを深く反省しないといけないと思います。事実、私も同じことをした過去があるので・・・」(片山氏)
3人の話を受け、モデレーターである日産自動車の堤氏は「お三方の話に共通するのは、『ブランドVS販促』という構図から脱却し、ブランドと販促を融合させてお客さまに価値提供していくこと。ブランドと販促のシナジーをどのように出していくのかがキーになると思いました」とまとめた。