ネプラス・ユー2020 #02
「ブランドと販促を対立構造にしない」サントリー、ダイキン、ライオン、日産のキーパーソンで議論
ブランディングと販促をどうつなげるか
続いて堤氏は、ブランドと販促を融合させる上での、苦労や失敗談を問いかけた。
これに対してサントリーの中村氏は、現状の組織体制における問題点を挙げる。サントリーは2009年にホールディングス体制に移行し、マーケティングと営業が事業会社として分かれた。それによりブランドと販促の対立が起こりやすい構図になったという。
中村氏は、「組織である以上は、その人の置かれている立場によって物の見方が異なるのは当然です」と理解を示しつつも、「戦略にまでズレが生じてしまっては良くないため、我われが両者のつなぎ役として、購買データを分析してお客さまのインサイトを仮説として立てながら、どのようにお客さまに販促を行えば、最終的にブランディングにもつながるか考えています」と語った。
横手氏は、「ブランディングが上滑りしすぎて、売上効果が出ずに、流通にもダメだと言われた経験は何度もある」と吐露。あくまでもビジネスを成長させるためのブランディングであるため、売上効果が出なければ失敗と位置付けていると語った。「ブランディングのよりどころは、生活者のインサイトです。それを突けているかどうかが、上滑りしないためのポイントです」(横手氏)。
片山氏も、「かつては販促の声の方が大きく、ブランドのコミュニケーションが全然できませんでした」と苦い経験を語った。片山氏はそんな逆境の中で、何度も企業のトップにまで掛け合い、10年前に初めてブランド予算を獲得。そこからブランドのコミュニケーションをスタートさせ、今ようやく営業の現場でもブランドが売りにつながる手ごたえが得られてきているという。「ブランドのコミュニケーションを行う場合も、その延長に販促があるということをベースにしています。それが10年以上、ブランディングを継続できている理由でもあります」(片山氏)。
最後に、堤氏は「マーケターとしては、ブランディングを進めていくうえで1、2回ダメだと言われても諦めずに、データやストーリーを研ぎ澄ませて説得していくことが大事なのでしょう」と語り、セッションを締めくくった。
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