カスタマーエンゲージメント研究会 #03Sponsored
サントリー、三井住友カード、FABRIC TOKYO 、JALなど参加。カスタマーエンゲージメントの評価指標や方法論を議論【研究会レポート】
2020/11/25
NPSとLTVの相関性は、企業やブランドによって異なる
その次に、当会に参加するボードメンバーが、カスタマーエンゲージメントの指標について、各社での取り組みや考え方を紹介した。
オーダースーツを販売するFABRIC TOKYO 代表取締役社長の森雄一郎氏は、カスタマーエンゲージメントの指標として、NPS(Net Promoter Score・顧客推奨度)を測定していると話す。
「NPSの測定は、採寸のための来店時、商品注文後、商品到着後と、1回の注文に対して3回実施しています。その理由は、来店から注文までに10日から2週間、商品の到着までに約1カ月と期間が空くためです」。
来店時や注文時は期待値が高いことからNPSは高く出る傾向にあるが、中には商品到着後に下がる人もいる。逆に商品到着後のNPSが高い場合は、「LTV(Life Time Value・顧客生涯価値)が上がるという相関が見えてきています」と明かした。
それに加えて、顧客一人ひとりに対する好感度アンケートやSOV(Share of Voice・広告量シェア)も測定している。SOVには独自の公式があり、SNSやブログ、クチコミ系の比較サイトなどで、ポジティブまたはネガティブなクチコミがどれほど出ているかを調査しているという。
しかし、そうした取り組みを行うなかで「NPSは難しい面があり、日本の事業に合うか、すごく悩んでいます」と森氏。中澤氏も「僕もNPSには疑問を持っています」と同調し、「日本でよく使われるNPS調査は、個人ではなく市場に対して行われることが多いため、改善につなげづらい。ただし、森さんの場合は個人に紐づけてNPSを測定しているため、顧客の行動に対するアクションを取ることができ、価値が高いと思いました」と続けた。
サントリーコミュニケーションズでデジタルマーケティング本部長を務める篠崎有平氏は、カスタマーエンゲージメントに対して、ブランド単位で見ている指標が異なり、「NPSもあれば好感度、リピート購入、SOVを見ているブランドもあります」と説明。
一方で、コーポレート単位でNPSを取得してLTVとの相関を分析したこともあり、その際には「0~10の好感度スコアの中で好感度が高い9または10でなければ、LTVとの相関は見えにくかった」と話した。さらに、NPSとLTVの相関をブランド別に調べたところ、ブランド間にバラツキがあったという。
この話を受けて中澤氏は、「サントリーのような多数のブランドを保有している企業では、サービスエンゲージメントを追求すべきか、企業エンゲージメントを追求すべきか、という議論もある。そうした点も、カスタマーエンゲージメント研究会で研究していきたい」と言葉を返した。