リテールアジェンダ 特別企画

小売業のDXには、“楽しさ”のデザインが必要

 

楽しさと煩わしさの境界


 一方で、なんでもかんでも「新しいパターン」を配置すればいいと言うわけではありません。

 「そんなにたくさん用意しても利益が取れないから?」いえ、それもありますがそれは企業の論理であり、脳の「決定回避の法則(多すぎると決められない)」に反するからです。

 買い物には「自己決定感」と言う楽しさにつながる要素もある一方で、自己決定の連続にはカロリーが必要です。脳は体の中で最もカロリーを消費する燃費の悪い臓器ですから、度を越すと「煩わしい」と感じてしまいます。

 さて質問です。「楽しさと煩わしさの境界」どこにあるでしょうか?

 「親切とお節介の境界は?」と聞いているようなものですので、これはとても難しい質問です。「それは人によって違うでしょう」と言う声が聞こえてきそうです。その通り、人によって違うのです。だからこそ難しい。

 しかし、セオリーくらいは見出したいと思います。「楽しさ」と「煩わしさ」の天秤、つまりバランスの問題ですので、

 ① 今かけてもらっている労力をなるべく増やさずに、その行為そのものに「楽しさ」を加えることができれば、バランスとして楽しさが勝つと考えられます。—今あるものをエンタメ化

 ② 新しいルールを強いるような「全く新しい体験」は、余程の楽しさが提供できないと煩わしさが勝ってしまうでしょう。——既知のルールの応用

 ③ いくら新しいパターン(情報)だからと言って、10発中9発フィットしないようなものは(広告のCTRが1桁と言うことはコレに該当)、煩わしくて発狂することでしょう。——パーソナルフィット

 そして、最後にゲームデザインにおいて当たり前すぎて見逃されがちなものが「④フィードバック 」です。

 フィードバックのないゲームなどあり得ません。十字キーを押したらキャラクターが動く、レベルが上がれば称賛のサウンドが鳴る、プレイ結果がランキングされるなど、ゲームデザインはフィードバックのデザインとさえ言えます。

 それを踏まえて、今のマーケティングキャンペーンや小売アプリを見渡すと、このフィードバックがあまりに足りないことがわかります。

 まとめると

 ①生活者が既にやっている行動を
 ②誰もが知っているルールを応用してエンタメ化
 ③内容をパーソナルフィットさせて
 ④十分なフィードバックをする

 その仕組みをユーザーテストし「楽しさ>煩わしさ」となっているかをチェックする。これが成功していればユーザーは繰り返し行動を起こしてくれますので、数字的にはMAU(マンスリーアクティブユーザー)ではなくDAU(デイリーアクティブユーザー)が増えるはずです。

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