実践!大松孝弘の人間理解 入門編 #02

「人間理解」なくして、骨太なインサイトは生まれない【特別寄稿 大松孝弘】

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「実践!大松孝弘の人間理解 入門編 ~インサイトを突き、人を動かす~」参加者 募集開始
 デジタルシフトやパンデミックなど社会変化が激しい今、表面的ではない人間の深層心理を捉え、どのように消費者を理解できるか、つまり「人間理解」の重要性が高まっています。2021年4月、インサイトリサーチの第一人者であるデコム大松孝弘氏による「実践!大松孝弘の人間理解 入門編 ~インサイトを突き、人を動かす~」が開催されます。それを記念し、「人間理解」の重要性が高まっている背景、インサイトを見つけるためのポイントなどを大松氏に寄稿してもらいました。
 

当たり前のようで難しい課題「人間理解」


 昨年、開催されたトップマーケターが集結するカンファレンス「マーケティングアジェンダ2020(10月沖縄・12月東京開催)」のテーマは「人間理解」でした。私も12月に東京で開催されたとき、キーノートに登壇させてもらいました。そして、今年5月に沖縄で開催される「マーケティングアジェンダ2021」のテーマは「続・人間理解」となることが決定しています。
 
マーケティングアジェンダ東京(2020年12月開催)に登壇する大松氏。近著に、「欲しいの本質~人を動かす隠れた心理『インサイト』の見つけ方」など。

 最前線のマーケターに向けたカンファレンスにおいて、「人間」を「理解する」という、いわばマーケティングの基本の中の基本とも言えるテーマに光が当てられる。その理由を読者のみなさんは、おわかりでしょうか?

 「人間理解」なくして、骨太なインサイトは捉えられない。骨太なインサイトなくして、マーケティングの成功はない。だから「人間理解」は重要なのです。

 しかし、残念ながら現在行われているのは、インサイトとは呼べないような小粒なものや表面的なものがほとんどで、実態として多くの企業やブランド、公共セクターなどで行われているマーケティングの現場で、人間を理解することがおざなりになっています。

 私が率いるデコムは、20年近くその「人間理解」にこだわり、700案件以上のインサイトリサーチや新価値創造のプロジェクトに関わってきました。そんな私が感じるのは、最近でこそインサイトがビジネスプロセスの中に取り入れられることが標準化されつつあるものの、ひとつのクリアすべき項目として置かれているだけなのが現状です。

 実情として、定型的に行われている量的調査や質的調査の結果をただ要約しただけのような、浅くて適当なインサイトが社内外でまかり通っているのです。

 マーケターの多くも「インサイトは定められたシートに記載しなければならない項目のひとつ、とりあえずこんな感じでいいかな?」といった程度で考えている人が多いように思います。

 「人間理解」とは、人間の行動や意識の実態を把握することではありません。そこで得られた事実を踏まえて、人間を深く掘り下げて、骨太のインサイトを得ることです。その理解には、行動経済学、認知科学、脳科学、心理学、文化人類学といった最先端のインテリジェンスが前提となり、そこで得られた知見を踏まえているか否かによって「人間理解」の質は全く異なるものとなります。

 そのようにして浮かび上がる骨太のインサイトとは、例えば消費者が表立って口にはしないが心の奥でふつふつとしている「叶えられていない願望」、あるいは「消費者自身も諦めたり押し殺していたりしている欲求」「合理性を欠く相容れない二つの要素に苛まれる葛藤」といったものです。

 一流のマーケターは、そのような「人間理解」による骨太のインサイトの発見に徹底的にこだわります。人間を理解することがマーケティングの“一丁目一番地”である、と言わんばかりに、実際の仕事において追求することを怠りません。

 「消費者以上に消費者を理解しなければならない」と彼らは知っています。そうでなければ、消費者の満足を得ることはできないからです。あらゆるニーズが充たされた超・成熟社会となった現代においては、消費者本人も気づけない、まだ表面化していない欲求を見つけなければならないのです。

 詳細は、こちら


 日本のマーケティング全体の質を向上させ、成果を産み出していくために、真の「人間理解」を目指す姿勢が改めていま求められています。

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