Road to ダイレクトアジェンダ2021 #02

パーソナライズシャンプーが大ヒット、最先端ビューティーテックから学ぶ「悩みに寄りそう商品戦略」青山商事 藤原氏、スパーティー 深山氏【ダイレクトアジェンダ事前対談】

強みは挑戦を続けることと管理の徹底

藤原 D2Cという言葉自体がここ2年くらいで一気に広がり、企業がどんどん参入してきましたが、成功するパターンとそうでないパターンがあると思います。深山さんが思う上手な方法は、何ですか。
 
深山 新しい仕組みづくりへの挑戦です。eコマースがこれからも伸び続ける中で、もっとサービスとして面白い体験を提供する必要があります。

伸びているブランドは、必ず何かしら新しいことに挑戦しているんです。なので、価格を安くしてWebで売り切るというような考え方よりも、時間をかけても新しい仕組みで世の中に挑戦し続けることが大事だろうなと。
左:青山商事 藤原氏、右:Sparty 深山氏
藤原 それは、売り方だけでなくて「パーソナル」という商品を一人ひとりにマッチさせてつくるというチャレンジが大事ということですね。

いまのヘアケア市場は4500億くらいの規模で、発毛や育毛を除くとヘアケア商品で約半分くらいを占めると聞きました。

深山 そうですね。さらにシャンプーとトリートメントに限ると、1500億円くらいになります。この市場は、コロナの影響もあって、ECが占める割合が6%から10%くらいに伸びています。今後、より伸びていくと想定しています。

さらに、この10年から20年で、オンライン発のブランドがオフラインを凌駕していくのでは、と思います。

藤原 そういう意味でいくと、D2Cでスタートしたブランドも結果的にリアルな場所に並び出すので、また双方のシェアが変わってきますね。

深山 オンラインであろうとリアルであろうと、すべてがデータでつながる時代なので、結局は、すべてがデジタルだと思います。

藤原 青山商事はどちらかというと、リアル販売をメインにしながら、デジタルに対応できないか検討してきました。なかなか難しいことでしたね。逆に言えば、オンライン特化からリアル販売への移行は簡単にできるのでしょうか。

深山 いえ、それは難しいでしょう。

藤原 それぞれ売り方も異なるでしょうし、組織も分けるべきでしょうか。

深山 私は組織を分けないことが強みになると思っています。これまでの化粧品メーカーは販売チャネルごとにブランドならびにKPIが分かれていましたが、我われは分けずに一緒にしています。

藤原 部門でもKPIは分かれますよね。

深山 我われのKPIは、CPAとLTVのみで進捗管理をシンプルにしています。オンラインで販売してもオフラインで販売してもそれは変わりません。

パーソナライズという構造上、商品が横流れせず、販路・データ管理・価格統制を自社で行うことができるからです。

今は、小売企業の力が強くなっているので、横流れしてしまう商品だと価格統制が取れず、「セット割引」で売られたりします。自社で確実に販路と価格を統制できるというところを武器に、リアルに進出し、新しいリアルのデジタルチャネルを構築する必要があると思うんです。

藤原 ブランドとして一番困ることは、メーカーが品質を保証している期限を無視して売られることです。そのため、社員が店頭で製造ロットをチェックするなど地道に確認しているブランドもあるようで、けっこうな手間が発生するんです。

それは顧客には見えないけれど、迷惑をかけていることになります。でも、Spartyの製品は自社で管理が行き届くからそれがない、商品を信用して使えますね。

深山 もちろんです。いまはAmazonなどで商品がすぐに購入できて翌日には届くのが当たり前の世界です。顧客目線で言うと、販路ごとに購入できる商品ラインアップが異なっていたり価格が違っていたり、そうなると疑問を抱いてしまいますよね。
 

D2Cの第7世代が考える、今後3年の変化とは

藤原 今回、はじめてダイレクトアジェンダに参加されますが、パートナー企業の方もたくさん来られます。深山さんが抱えている課題や知りたいサービスなどはありますか。

深山 まだ小さなベンチャー企業なので、正直、競合かどうかなどは気にしませんし、会場では同じ領域の方々も業界の先輩方として色々教えていただきたいと思っています。

藤原 ダイレクトアジェンダのいいところは、パートナ企業が提供するサービスを知る機会になりますが、ブランド企業同士で特に同じ市場で戦っている方とも知り合い情報交換できることです。そういう意味では、競合企業とも接点を持てます。

深山 いい意味で我われのことを皆さんに知ってもらいたいなと思います。小さい会社のいいところは、なんでも挑戦できるところなので、ぜひぼくらを使ってください(笑)

藤原 ダイレクトアジェンダ当日は、初日のキーノートで登壇されますね。これから始まる2日間の最初のセッションということで、みなさんの期待も集まります。テーマは「今後3年間でどう変化していくのか」ですが、頭出しで少しだけお話を聞けたらと思いますが、いかがでしょう。

深山 新型コロナウイルスの影響で、ECで起きるべき変化が5年から10年前倒しで起こっています。それでも正直、海外と比較するとまだまだ遅れていて、日本ではもっと加速されていく必要があると思います。

通販業界において、「D2Cは何者なんだ」という話をするとき、お笑いの第7世代のように、我われは通販業界の第7世代のようなものだと例えます。

第1世代や第2世代が伝説をつくって、その基本的な作法は受け継ぐものの、我われは新しく出てきたチャネルや仕組みに、前の世代が参入する前に先行して取り組んで、失敗しながらも事業を拡大させていくということが大事です。

藤原 芸能界もテレビがメインだったのが、いまではYouTubeなどで発信するタレントも増えて、情報拡散の場が広がってますもんね。

深山 ダイレクトアジェンダ当日は、新たなチャネルを活用して、業界をどう広げていくのかディスカッションできたらいいと思います。

藤原 同じようなD2C事業の中で、特に注目している他のブランドはありますか。

深山 もちろんあります。メンズスキンケアのBULK HOMME(バルクオム)や、完全食のBASE FOOD(ベースフード)、定額制パーソナルフードのGREEN SPOON(グリーンスプーン)です。

これらの市場は伸び続けますし、もっと面白いことが絶対にできるなと思っています。

藤原 2017年からの3年間でアパレルも、食も、ヘアケアも、スキンケアもパーソナライズが当たり前になリました。ここからの3年を考えると、いままで以上に変化のスピードが増していくはずです。そういう意味では、将来この対談を見たら「あんなこと言ったけど2年で実現できたな」と言っているかもしれないですね。

深山 その可能性は、十分にあると思います。

藤原 7月のダイレクトアジェンダに参加される方は、ぜひ遠慮せず深山さんに声をかけてこれからの3を一緒に話をしていただけたらと思います。きっと新しいアイデアが生まれる気がします。我われも当日は楽しみましょう。

深山 うですね。ご参加のみなさんよろしくお願いいたします。
 

ダイレクトアジェンダ2021 概要     

名称:
Direct Agenda 2021 (DA21)
日時:
2021年7月1日(木)-2日(金)
《2泊3日 ※3日朝解散》
会場:
Active Resorts 福岡八幡
参加者:
事業主125名、パートナー125名 (合計250名)
参加費用:
ブランド枠(無料)
プレミアムブランド枠(18万円)
パートナー枠(39万円)
ハッシュタグ:
#da21
主催:
株式会社ナノベーション
特別協力:
アジェンダノート(Agenda note)
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