カスタマーエンゲージメント研究会 #05Sponsored

三井住友カード、GDO、KINTO、ビームスが、カスタマーエンゲージメントの最新事例を公開 【研究会レポート】

 

サービスの人格を決め、それを核とした接客で顧客体験を向上


 ゴルフダイジェスト・オンライン(以下、GDO)では、「カスタマーエンゲージメント向上への第一手として、サービスやプロダクトの人格を決めることから始めた」と、執行役員 CMO/CIO 志賀 智之氏は語る。その人格を「お客さまのゴルフライフに寄り添う存在」と言語化し、「ゴルフライフをもっと楽しくするベストキャディ」というコンセプトや、「大切なゴルフ仲間」というスタンスのほか、提供価値や基本行動指針を詳細に設定。すべてのチャネルでその人格に基づく接客を行うことで、顧客体験の向上を図っている。
 
ゴルフダイジェスト・オンライン 執行役員 CMO/CIO 志賀 智之氏

 そのひとつの施策として、志賀氏はメールコミュニケーションを改善した事例を紹介した。GDOは、ゴルフ場の予約やゴルフ用品のEC、スコア管理アプリなど様々なサービスを提供しているが、それらのサービスからバラバラにメールが配信され、ひとりの会員につき毎日2~5通、年間730~1200通が送付されていた。そこで、顧客一人ひとりの行動に合わせたタイミングと文脈で接点をつくっていく方針に変更。メールの書き方についても人格を前面に出し、ゴルフ好きの女性「原田尚子」が手紙を書いているという設定で演出した。

 具体的には、たとえば会員登録をした人には、翌日からウェルカムプログラムとして、約1カ月にわたってGDOのサービスを案内するメールを配信。メールの内容や順番は、「ゴルフ場を探している」、「コンペの幹事」など、個人のシチュエーションに応じて出し分け、ステップメールに近いシナリオにしている。

 ウェルカムメールの開封率は約25%。ウェルカムプログラムの効果検証として、ウェルカムメールを送付するグループと送付しないグループに分けてその後の行動を比較したところ、送付したグループの方が初回の離脱率が低いという結果になり、少なからずLTVに影響を与えていることが分かったという。
 

接点の拡大でエンゲージメントを高め、継続利用につなげたい


 KINTOは、2019年1月にトヨタファイナンシャルサービスと住友グループ各社のジョイントベンチャーとして設立され、トヨタブランドやレクサスブランドの新車を定額で利用できるサブスクリプションサービスを展開している。マーケティング部長の藁谷直樹氏は、カスタマーエンゲージメントの向上に向けた取り組みはこれからの段階にあるとして、KINTOのマーケティング戦略やカスタマーエンゲージメントに対する展望を話した。
 
KINTO マーケティング部長 藁谷直樹氏

 KINTOの主な顧客層は、若年層とシニア層。若年層の場合は、新車に乗りたいと考える人の最初の1台に選ばれるケースが多いという。新車の購入には頭金としてまとまったお金が必要だったり、自動車保険料の負担が大きかったりするが、KINTOはそれらをすべて月々の価格に内包している点が評価されているそうだ。一方、シニア層は、最新の安全装備がついた車に乗りたいけれど、新車の購入には家族の反対があるといった人が利用していることが伺えるという。

 現在はテレビや雑誌などのマスメディア中心にサービスの認知を広げ、車の購入を検討している人から指名検索が得られるよう注力している。それに加え、シニア層の申し込みが多い販売店では、営業支援や販促ツールの提供などでタッチポイントをつくっているが、若年層からの申し込みが多いオンラインでのアプローチにはまだまだ課題がある。

 今年9月時点の認知度は約4割。申し込み数は、車種を拡大した1月以降増加し、9月は1500件にのぼった。KINTOは契約年数が3年、5年、7年から選択できるが、最も契約数が多いのは3年。「2022年以降に順次契約満了を迎える顧客に向け、再契約を促すためにどのようなコミュニケーションでエンゲージメントを高めるかが課題」と藁谷氏は語る。現在はメールコミュニケーションを主体としているが、定期メンテナンスの機会の活用や、オンライン上での接点拡大を模索しているところだ。

 また、キャンピングカーやレンタカー、シェアサイクルなど、ほかのサービスの利用キャンペーンを行って接点を増やすことで、必要になったときに主軸のサービスである新車のサブスクを想起してもらえるよう、顧客との関係づくりも行っていきたいと考えている。

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