カスタマーエンゲージメント研究会 #7Sponsored

カスタマーエンゲージメントの先駆者たちが「新・評価指標」を議論【研究会レポート】

       

CEは、顧客ファネルの重要なポイントで聞く

     
 各チームの発表を聞いて、中澤氏が導き出した論点は3つ。1点目は、基本的な方向性は案①としたうえで、計測すべき満足度は「トランザクション満足度」か、それとも「一定期間ごとに行う満足度調査」かということ。

 2点目は、アンケートに回答しない人のスコアをどのように取り扱うか。

 3点目は、評価したCEを実際の施策に役立てていくためには、同時に企業が提供する価値の源泉となる「バリュードライバー」の役割を果たすものを設定していく必要があるのではないかということだ。

 1点目について志賀氏は、「年1回の調査をやったところで、顧客はもう体験を忘れている可能性が高い。特にCEであれば、トランザクショナルのように細かく調査していかないと意味がないのではないか」と語った。

 それに対して、サントリーコミュニケーションズ デジタルマーケティング本部 部長の篠崎有平氏は「トランザクションベースで満足度を測るようにすると、アンケートをたくさん入れなければいけなくなり、UX上どうなのか」と懸念を述べると、中澤氏は「その意見に同調しながら、藤原さんチームではすべてのトランザクション行為に対して満足度を聞くのではなく、初購買など顧客ファネルの中で重要なポイントに絞って聞くというアイデアがあった。チェックポイントを用意することで、UXの阻害は免れる可能性がある」と答えた。
  

    
 加えて篠崎氏は、「アンケートは、もともとCEが高い人が応じやすい傾向にある」と、平田氏のチーム発表の意見に言及。これに対して中澤氏は、藤原氏のアイデアを例にとり、「初購買など、ファネルの中のチェックポイントで聞くことで、CEが高い人ばかりが回答するという事態は避けられるかもしれない」と回答。藤原氏も「各企業で、自分たちが顧客とコミュニケーションを取るべきポイントと、タイミングをサービスごとに見極めて決めた方がいい」と議論を深めた。

 3点目に関して志賀氏は、「たとえば、トランザクション満足度を10点中何点かと聞いて回答をもらったとしても、返ってきた数字にどのような理由があるのかを分解しなければ、結局、施策には生かせない」と指摘。「だからこそ、なぜその点数を付けたのかを、顧客に対して多角的に聞いていく必要がある。CE値が分かるものと、施策の改善につなげるためのアンケートを2本立てで走らせなければ意味がないという気がする」と投げかけた。

 中澤氏はそれに答える形で、「総合的な満足度に対して、バリュードライバーとなる内容を一緒に聞くという設計は必要」と同意。そのうえで、「その際に聞くべき内容は企業やサービスによって大きく異なる。僕らは最上流のエンゲージメント指標を設定しようとしているが、バリュードライバーの中身まで定義はできない。だからこそ、CEのスコアと、そのアクションに結び付けるための手法は、今回は分けて考えた方がいいのではないか」と結んだ。

 今回の議論を踏まえて、案①の方向性でおおむね合意が取れたという認識で、バリュードライバーとなる内容の設計は別途提示する意向となった。今後は、今回のディスカッションを元に再び案を練り直しながら、PoCに向けて準備を進めていく方針だ。
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