マーケティングアジェンダ2021外伝 #01
元ネスレ高岡浩三氏、ファミマ足立光氏によるキーノート「イノベーションメソッドの根本に迫る」【マーケティングアジェンダ2021レポート外伝_第1回】
2021/11/09
キラメックスでマーケティングを担当している福田保範です。今回、2021年10月27日から3泊4日で行われた、マーケティングアジェンダ2021に参加しました。キーノートとラウンドテーブルディスカッションがとても参考になる内容ばかりでしたので、いちマーケターとしての見解を入れつつ全4回に渡りレポートします。
キーノートは全部で3つあったのですが、あえて行われた順番とは逆に#3→#2→#1の順にまとめます。この順番でご覧いただくと、より今回のマーケティングアジェンダのキーノートの内容が理解しやすくなります。
第1回は、「キーノート #3 イノベーションメソッドの根本に迫る~人のキモチの読み取り方~」と題したセッションのレポートです。元ネスレ日本 代表取締役社長兼CEOで、現ケイアンドカンパニー 代表取締役社長の高岡浩三氏、ファミリーマート 初代CMOの足立光氏による、刺激的で至極のセッションでした。
キーノートは全部で3つあったのですが、あえて行われた順番とは逆に#3→#2→#1の順にまとめます。この順番でご覧いただくと、より今回のマーケティングアジェンダのキーノートの内容が理解しやすくなります。
第1回は、「キーノート #3 イノベーションメソッドの根本に迫る~人のキモチの読み取り方~」と題したセッションのレポートです。元ネスレ日本 代表取締役社長兼CEOで、現ケイアンドカンパニー 代表取締役社長の高岡浩三氏、ファミリーマート 初代CMOの足立光氏による、刺激的で至極のセッションでした。
初めから究極の質問「マーケティングとはなんですか?」
本セッションは、いきなり足立氏からの究極の質問から入りました。Q.足立氏「マーケティングとはなんですか?」
A.高岡氏「顧客の問題に焦点を当てること」
この明確でわかりやすい言葉の後、足立氏は以下のように続けます。
「マーケティングを社内の誰にでもわかる共通言語にするには、わかりやすい言葉が必要。
間接部門にいる人でも「顧客」がいる。採用だったら、学生。総務部だったら社員。その顧客の問題を見抜いて、そのソリューションを作ることが必要。共通言語化ができれば、マーケティングが全ての部門で大事なものになる。コトラーの理論を丸覚えしてもできない。コトラーを超えていかないといけない。世の中で起こっていることをまとめるのが学者であって、学者を越えないとイノベーションは生まれない」と。
この「顧客の問題に焦点を当てる」という表現は、高岡氏の奥さまにも伝わる表現だったとのことで、大変わかりやすく私も非常に腹落ちしました。絵に描いた餅ではなく、共通言語化し、社員のコミュニケーションとして実際に使えるようにすることが大事です。
「顧客の問題には2種類ある」
続いて、高岡氏は「顧客の問題」についても明確な理論を展開しました。
「顧客の問題は、イノベーションか、リノベーションに分けられる。誰が聞いてもイノベーションの方が規模が大きいと認識している。しかし、ネスレの本国会議において、イノベーションとリノベーションの違いは?と説明を求めたところ、誰も明確に定義を答えられなかった」
そこで、高岡氏は以下の定義を行ったそうです。
・わかっている、顕在化している問題→リノベーション
・問題とは思っていない問題、こんなことは解決できるわけないと思っている潜在的問題→イノベーション
例えば、暑い時の解決策の場合は、以下のような感じです。
・うちわしかなかった時、扇風機ができた。→イノベーション
・首振りが欲しい、タイマーが欲しい、強い風が欲しい→リノベーション
つまり、
イノベーションは市場調査しても出てこない。
リノベーションは市場調査である程度でてくる。
ということです。
つまり、「イノベーションは市場調査しても出てこない」、「リノベーションは市場調査である程度でてくる」ということです。
「今まではリノベーションで食べてこられたが、種が尽きてくる。デジタル、AIが20世紀で問題解決できなかったことを解決できるようにしたのだが、イノベーションが必要なのに出てきていない。もっとこのイノベーション、リノベーションの視点を取り入れていかないといけない」と高岡氏は危機感を述べます。