カスタマーエンゲージメント研究会 #09Sponsored

【オルビス 小林琢磨・Repro 中澤伸也 対談】経営視点から見た顧客エンゲージメントとLTV向上とは

前回の記事:
日本の業界標準を目指す「カスタマーエンゲージメント指標」が、マーケティング活動に与える影響とは
 化粧品メーカーのオルビスの社長に就任し、「オルビスユー」のヒットなど同社の改革を成功させ、注目を集める小林琢磨氏。同氏は変革を進めるなかで、社員のブランドやLTVへの考え方を大きく変化させてきました。その小林社長が「顧客エンゲージメント」についてどのように考えて組織改革を実行してきたのか、Repro取締役 CMOの中澤伸也氏が詳しく聞きました。
 

ブランド変革には、従業員の納得感醸成に力を入れた


中澤 オルビスは小林さんが社長になられて、最初に「オルビスとは一体何なのか?」を問い直されたと伺いました。その際、ミッションやブランドコンセプト、顧客にとっての価値の在り方など、すべてを再定義されたと思いますが、なかでも一番大変だったことは何でしょうか。
 
 
小林 一番大変だったのは、組織の納得性をつくることですね。最終的な行き先がある程度決まったとしても、そこに向けて社員のお尻を叩くのではなく、自走してもらうことが望ましいのですが、そのためには納得性をつくることが必要で、それがあってようやく組織は自発的に動きます。

そこで私がまず取り組んだのは、オルビスが持つ30年以上の歴史を振り返り、店舗で行列をつくって大きく成長した時代に着目することでした。創業者や当時の経営陣の精神に立ち返ることで、オルビスが提供するべき価値の本質を洗い出して、再定義したんです。

中澤 原点回帰して、そのときに持っていた本質的な価値を改めて言語化したんですね。

小林 そうです。それが、「人の持つ本来の力を引き出して美しく導く」ということでした。オルビスは長年オイルカットの化粧品を扱ってきましたが、それはあくまでも手段。本質的な価値を提供するために、今の時代に合ったもっといい手段があるなら、聖域を設けないと明言しました。ただ、ここ10年のオルビスを見ている従業員に「オイルカットにこだわらない」と伝えると、それは「オルビスのアイデンティティだから変えないでほしい」と言うんです。手段がアイデンティティというのは変ですよね。だから、大きく組織にメスを入れることにしたんです。
 
 
具体的には、メガベンチャーのような、社内コミュニケーションに優れた会社を参考にして社員の表彰制度や全社総会を取り入れたり、私の考えを社内インフラのブログに書いたり。そのほかにも「小林の部屋」という、上司に許可を取らなくても私に直接話せる仕組みをつくりながら、考えられる限りの手を尽くしていきました。

中澤 大変な活動ですね。やはり最終的には、価値の浸透や共有化が従業員とのエンゲージメントを高めるためのベストな手段なのでしょう。とはいえ、実際にそれらを浸透させるためには本当に微細な取り組みが必要なのではと思います。

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