マーケティングアジェンダ2021外伝 #03

ライフクリエイト前川氏、元西友富永氏「ある経営者の人間理解についての考察」から人間理解の本質に迫る【マーケティングアジェンダ2021レポート外伝_第3回】

 

説明会ですら理念の体現を徹底

 「ライフクリエイトは『人生を、愛そう。』という理念を徹底的に大事にしている」と、まず前川氏は言いました。実際、前川氏は会社説明会でその理念を体現しています。参加者が自分自身のことを好きになって最終的には泣いてしまう、という説明会が何度も開催され、それが評判を生みブランド(企業)の認知や好意度の向上を達成しています。ぜひ、このフィロソフィーをみていただきたいのですが、圧倒的強さのメッセージ力だと思いました。



 さらに前川氏は、こう続けます。「ライフクリエイトは理念が題目ではなく、会社の収益に結びつけている。『自分を愛し、輝く女性を創る。』というひとつの理念で集まった人たちが社会に価値を見出すことが大事」だと。

 「お客さまのため、は当たり前。自分がどんなことをしたいのか、が大事」という強いメッセージは、私自身もはっとさせられましたし、冒頭でお伝えしたように、足立氏の言葉からもインパクトがあったことがわかります。社員一人ひとりが会社の理念を体現することが結果的にブランドになるからです。

 前川氏は、説明会でサービス説明に終始するのではなく、この会社の理念を伝えることに徹底し、説明会参加者に自己肯定感を高めさせ、最終的には感動させ共感を生み出しているのです。
 

自己肯定感はサービスクオリティに結びつく

 スターバックスコーヒーの事例もまさにそうなのですが、自己肯定感は、優しさや余裕が生まれ、結果サービスへも影響していきます。

 <前川氏の3つの教育方針>
 ①自己肯定感
 ②肯定感を作り出すパートナーシップ、チーム
 ③自己肯定が育ったらビジョンを描く

 この教育方針はとてもユニークで参考になります。ライフクリエイトの方針を体現する象徴的なイベントとして、1年に1回4,000万円以上をかけた社内コンテストがあり、承認・達成感を生み出す工夫が散りばめてられています。実際の模様がこちらです。
 
ライフクリエイト全店研修2018の模様

 一見、狂気にも思えるような内容ですが、私は究極の姿だと思います。もちろん、これをそのまま真似するのは到底難しいですが、この要素を少しでも会社に取り入れられればよくなるに決まっています。

 富永氏からは「自己肯定感が高いと、自分を卑下したり蹴落としたりせずに、利他ができる。自己肯定×利他、はキーワード」という発言がありました。他人に優しくすると、自分も嬉しい。それがさらにいいループを生み出すのです。

 また、前川氏は「人は、自分に触れると泣く。」と続けます。「自分のことを感じる時は、自分の内側に触れた時。触れてはいけないところ、実は触れたいところに触れられると涙が出る」という言葉が印象的でした。結局、働くのは社会のため、会社のためではありますが、最終的には自分が幸せになるためであることは動かしようのない事実です。しかし、自分を大事にしきるというのはひとりだと難しいことなので、会社がそこにコミットして、サポートするというのは理想的なことなのではないでしょうか。

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