マーケティングアジェンダ東京2021外伝 #01
早稲田大学 長沢教授、ユナイテッドアローズ 藤原氏「ラグジュアリー戦略で消費者心理を支配する」逆張りのマーケティングとは
2022/01/13
キラメックスでマーケティングを担当している福田保範です。2021年12月9日と10日に行われたマーケティングカンファレンス「マーケティングアジェンダ東京2021」に参加しました。キーノートがとても参考になる内容でしたので、いちマーケターとしての見解を入れつつ全4回に渡りレポートします。
ひとつ目のキーノートは、「ラグジュアリーブランドは確固たる強い『ブランド』を、いかにして作りあげたのか」というテーマで、ラグジュアリー戦略の第一人者である、早稲田大学ビジネススクールの長沢伸也教授がスピーカーとなり、聞き手はユナイテッドアローズ 執行役員 CDO DX推進センター 担当本部長の藤原義昭氏が務められました。
このキーノートの内容は、書籍『ラグジュアリー戦略―真のラグジュアリーブランドをいかに構築しマネジメントするか』から、一部内容を抜粋して解説しているものになります。
その中の第1部第3章「マーケティングの逆張りの法則」の中で【逆張りマーケティング】にて、18個の法則が述べられています。
この中でも、長沢教授は注目すべき7つについて述べられました(上記では太字にしています)。
ラグジュアリーブランドを目指している企業や担当者だけではなく「消費者の生活の中で魅力的であること」の必要性がラグジュアリー戦略という整理で話された、まさに類稀なセッションでした。
もちろん会場内では「うちはラグジュアリーなブランド・サービスじゃないから」という声もありましたが、個人的には必ずいまの皆さんの業務の中でも生かせるところがある内容だと思いました。例えば、必要以上に安売りしてないか、こだわり・類稀なるポイントを発掘して訴求できているのか?などです。
自分ごと化しにくいテーマかもしれませんが、自社のブランドにどう当てはめられるのかを考えながら読み進めてください。「日頃思っていることを全部逆に考えることが逆張りのマーケティング」という長沢教授のコメントのとおり、大事なのは「発想の転換」です。
ひとつ目のキーノートは、「ラグジュアリーブランドは確固たる強い『ブランド』を、いかにして作りあげたのか」というテーマで、ラグジュアリー戦略の第一人者である、早稲田大学ビジネススクールの長沢伸也教授がスピーカーとなり、聞き手はユナイテッドアローズ 執行役員 CDO DX推進センター 担当本部長の藤原義昭氏が務められました。
このキーノートの内容は、書籍『ラグジュアリー戦略―真のラグジュアリーブランドをいかに構築しマネジメントするか』から、一部内容を抜粋して解説しているものになります。
その中の第1部第3章「マーケティングの逆張りの法則」の中で【逆張りマーケティング】にて、18個の法則が述べられています。
1.「ポジショニング」のことは忘れろ。ラグジュアリーは比較級ではない
2.製品は欠点を十分に持っているか?
3.顧客の要望を取り持つな
4.ブランド狂でない奴は締め出せ
5.増える需要に応えるな
6.顧客の上に立て
7.顧客がなかなか買えないようにしろ
8.顧客を非顧客から守れ、上客を並の顧客から守れ
9.広告の役割は売ることではない
10.標的にしてない人にもコミュニケーションせよ
11.実際の価格より常に高そうに見えるべきである
12.ラグジュアリーが価格を定め、価格はラグジュアリーを定めない
13.需要を増やすために、時間が経つにつれて価格を引き上げろ
14.製品ラインの平均価格を上げ続けろ
15.売るな
16.スターを広告から締め出せ
17.初めて買う人のために、芸術へ接近するように努めろ
18.工場を移転するな
2.製品は欠点を十分に持っているか?
3.顧客の要望を取り持つな
4.ブランド狂でない奴は締め出せ
5.増える需要に応えるな
6.顧客の上に立て
7.顧客がなかなか買えないようにしろ
8.顧客を非顧客から守れ、上客を並の顧客から守れ
9.広告の役割は売ることではない
10.標的にしてない人にもコミュニケーションせよ
11.実際の価格より常に高そうに見えるべきである
12.ラグジュアリーが価格を定め、価格はラグジュアリーを定めない
13.需要を増やすために、時間が経つにつれて価格を引き上げろ
14.製品ラインの平均価格を上げ続けろ
15.売るな
16.スターを広告から締め出せ
17.初めて買う人のために、芸術へ接近するように努めろ
18.工場を移転するな
この中でも、長沢教授は注目すべき7つについて述べられました(上記では太字にしています)。
ラグジュアリーブランドを目指している企業や担当者だけではなく「消費者の生活の中で魅力的であること」の必要性がラグジュアリー戦略という整理で話された、まさに類稀なセッションでした。
もちろん会場内では「うちはラグジュアリーなブランド・サービスじゃないから」という声もありましたが、個人的には必ずいまの皆さんの業務の中でも生かせるところがある内容だと思いました。例えば、必要以上に安売りしてないか、こだわり・類稀なるポイントを発掘して訴求できているのか?などです。
自分ごと化しにくいテーマかもしれませんが、自社のブランドにどう当てはめられるのかを考えながら読み進めてください。「日頃思っていることを全部逆に考えることが逆張りのマーケティング」という長沢教授のコメントのとおり、大事なのは「発想の転換」です。
製品は欠点を十分に持っているか?→余白を生み出す、こだわりを伸ばす
2.製品は欠点を十分に持っているか? について、
×:製品は完璧であるべきだ
○:製品は傷を十分に持っているか?→「あばたもえくぼ」傷を魅力に高める
○:製品は傷を十分に持っているか?→「あばたもえくぼ」傷を魅力に高める
「ラグジュアリーは完璧でなければならないというのが誤認」という、インパクトのある言葉からはじまった、ひとつ目の逆張りマーケティング解説が印象的でした。
例えば、10年に1秒も誤差がないソーラー電波時計はラグジュアリーかというと、違う。市場価値は数千円のプラスにしかなっていない。
一方、スイス製の機械時計は日差でも数秒誤差があるという精度。しかし、時価数千万円の価値がある。それはなぜかというと、圧倒的なデザイン性や細部へのユニークな”こだわり”はもちろんだが、毎晩毎晩のお手入れの手間・手がかかることが贅沢であり、愛着となり、価値となっている。
一方、スイス製の機械時計は日差でも数秒誤差があるという精度。しかし、時価数千万円の価値がある。それはなぜかというと、圧倒的なデザイン性や細部へのユニークな”こだわり”はもちろんだが、毎晩毎晩のお手入れの手間・手がかかることが贅沢であり、愛着となり、価値となっている。
ポルシェもルノーもフェラーリも、すぐに故障したり些細なことで傷がついたりしますが、それ以上の愛すべき特徴・理由があるから売れる。「手間がかかるけどだからこそ可愛いヤツ」ということなのです。
完璧であることは愛着の余地をなくし、ブランドへの愛が湧きにくくなります。この余白は、言い換えるとオールマイティーを目指すのではなく自分たちのこだわりを圧倒的にするという「逆張り」です。刀の代表取締役CEOの森岡毅氏も、2021年11月14日に放送された林修先生の「日曜日の初耳学」にて弱みが強みになったことは見たことはないと述べていました。比較表で全て○がつくことを目指すのは、ラグジュアリーブランドでなくとも悪手ということです。
ブランド狂でない奴は締め出せ→差別主義であれ
4.ブランド狂でない奴は締め出せ について、
×:顧客を他のブランドから横取りしろ
◯:熱狂的でない奴は締め出せ
◯:熱狂的でない奴は締め出せ
この横取り思想もよくやりがちなことですが、ラグジュアリーは差別主義であることと長沢教授は言います。
飛行機の優先搭乗がいい例。どんなに並んでいても優先される優越感。施策として熱狂者とそうでない人を区別するということが大事。
また、行列のできるラーメン屋と、ガラガラのラーメン屋があったとき、なぜ行列ができている方にいくのかを考えてみよう。行列の方は「なくなり次第終了、限定200杯のみ」などと言っているはず。提供数を増やしたり、店舗を広げたりしようと考えてしまうが、行列が熱狂的な人以外を締め出すことでラグジュアリーになっている。
また、行列のできるラーメン屋と、ガラガラのラーメン屋があったとき、なぜ行列ができている方にいくのかを考えてみよう。行列の方は「なくなり次第終了、限定200杯のみ」などと言っているはず。提供数を増やしたり、店舗を広げたりしようと考えてしまうが、行列が熱狂的な人以外を締め出すことでラグジュアリーになっている。
熱狂的な人を優遇することは、熱狂的ではない人を蔑ろにするわけではなく、時間や金額を多く払っている消費者に対してその分の対価として優越感や満足感を与えるということ。ファンマーケティングもまさにこの発想だと思いますが、それを差別主義と言い切ってしまうところが潔いし分かりやすいなと感じました。