マーケティングアジェンダ東京2021外伝 #02

駒澤大学 青木教授、吉野家 伊東氏SDGsは「買う理由」ではなく、「ないと買わない理由」になっている

【理念とパーパス】企業のパーパスを定めなければサステナビリティは成立しない

 そして、企業理念とパーパスの関係性の話がありました。

 企業理念:企業氏としてのスタンス
 パーパス:社会に対するスタンス
 パーパスがないとサステナビリティはできない。
 企業理念とパーパスの紐づきが重要といいます。

 どちらか片方になると、継続性や事業への紐づきが無くなってしまいます。そもそも、理念とパーパスの違いが曖昧になってしまっていることも多いと思います。

 キリンさんは上記の通りパーパスが明確に定まっており、それを経営計画の中枢に沿えていて流石だなと思いました。そしてわかりやすいですよね。こういう計画があるなら、キリン製品にしようかなと私自身が感じます。ESGが基盤にあり、SDGsは結果として達成されている点に好感が持て、企業の当たり前として実施するということになっているのだと思います。



 また、マーケティングはプロモーションのものだけではなく、企業全体で取り組まなければなりません。SDGsのマーケティング活用というのは、絶対にマーケティング部、広報室だけでプロモーションをやることではありません。
 

【続ける・拡げる】なんちゃってでやるサステナビリティほど意味がないものはない

 結局、事業の中での活動ですから、継続性があり、かつ効率的(少ない経営資源)で拡げられ、インパクトを出さなければいけません。

 繰り返しになりますが、このセッションではサステナビリティ・SDGsは「どうせ避けられない」ものであり、ブランディングに寄与するものであり、やらなければ選ばれない理由になってしまうものである、ことをわかりやすく伝えているものです。

 着手するのに必要なのは「整理」と「覚悟」と「アイデア」。最後に伊東氏はこう締めくくりました。

 そのままやろうとすると趣味になる。 本当の意味で、ソーシャルの中で必須に求められる解決策になるために、マーケティングを意識する。
 

まとめ:「ラグジュアリー」と「SDGs」と人間理解

 今回のキーノートは、前回レポートした「ラグジュアリー戦略」と、今回の「SDGs」というテーマで、一見飛び道具で必須ではない考えを伝えるものを2つ並べた内容でした(前回のレポートはこちら)。

 ラグジュアリー(類稀であること)は各企業において本当に必須ではないのか。SDGsは、必須ではないのか。「続・人間理解」というテーマのなかで、私は「自分が本当に欲しいと思うものか、自分が本当に働きたい会社なのか」という自分理解の重要な視点を与えてくれた内容であると感じました。

 ラグジュアリー・サステナビリティ・SDGs・ESGは、当たり前に必要となっているマーケティングの要素なのではないでしょうか。いま一度、考えてみてはいかがでしょうか。

 他にもマーケティングアジェンダ東京2021の記事をまとめていきますので、ぜひご覧ください。
 
 ・キーノート#1  早稲田大学ビジネススクール 長沢伸也教授、ユナイテッドアローズ 執行役員 CDO DX推進センター 担当本部長 藤原義昭氏によるキーノート「ラグジュアリーブランドは確固たる強い『ブランド』を、いかにして作りあげたのか」(公開中
 
 ・Repro&青山商事のOMO戦略推進から学ぶ『社内外一体型マーケティング推進』 #MA東京21(近日公開)

 ・キーノート#3 ドイツ銀行 ティム・アレキサンダー氏、Indeed Japan水島剛氏によるキーノート「Expanding the value of Marketing~拡張し続けるマーケティングの役割~」(近日公開)

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