マーケティングアジェンダ東京2021外伝 #03
青山商事とReproのOMO戦略から学ぶ「社内外一体型マーケティング推進」 が必要な理由
2022/01/31
OMO推進のハードルを「寄り添い」「粘り強く伝え続けた」ことで解決した
ここから先が最大のポイントになります。言わずもがなどんなにアイデアとして素晴らしくても、結局は現場がついてこれないとOMO施策は全く進みません。現場の担当者にデジタルの知識がなく、急にデジタル化、OMOというと拒絶反応が出るのは普通のことです。そういう難しい環境の中で、関氏は2つのポイントで現場に寄り添い推進していきました。
<ひとつ目は「言葉の定義」>
デジタル・マーケティング推進において1番の弊害と言っても過言ではないのが言葉の壁です。実際に青山商事では、すでにO2O・オムニチャネルという言葉を社内でも使い始めたこともあり、店舗や部署や人によって定義が変わっていました。そのため、まずは言葉の定義を決めて、これから実施しようとしていることの内容を誰に対しても違いなく伝えることを徹底したといいます。
これは、元ネスレ日本の高岡氏が「マーケティング」という言葉の定義を丁寧に定めたのと同じで、素晴らしいプロセスの踏み方だなと感心しました。(「マーケティングアジェンダ2021」高岡氏のキーノート)
<二つ目は、デジタルツールの活用>
これも、馴染みのない方の場合はハードルが高く感じてしまうところでしょう。デジタルツールに対するリテラシーの差は必ずあるので、丁寧に教えていきました。「この二つは大事ながらもオーソドックスだ」と、思われた方もいらっしゃると思いますが、この先に秘訣が隠れています。
「この二つを、伝え続ける、診続けることが大事。粘り強く寄り添い、やり続ける。かつ、数値をもって現場に実感を伴わせるということ」
店舗スタッフにレクチャーとヒアリングをし、分かるようになるまで丁寧に繰り返し教えつつ、実際にやってもらったことを「見る」、すなわち放置せずに健康診断を定期的に繰り返したといいます。
ここまでやり切るのはリソースも、精神的な負荷も、相当にあると思います。しかし、おそらく推進がうまくいってない企業はここまで店舗スタッフに寄り添い、手間暇をかけることができていないのだと思います。
プロと現場の理想的な教育ループ
店舗とECの顧客体験を最適化するツールに関しては、Reproのコンサルが単なるツールの使い方だけでなく、接客や改善のノウハウとアイデアを青山商事社内のマーケティング担当に提供し、実現性を確かめながら、施策推進を実施していきました。このフローを繰り返していくうちにマーケティング担当にも自然と知識がつき、自身でアイデアが浮かぶようになったといいます。
これはまさに理想的な、素晴らしいループです。ツールの使い方を教えてくれるだけでなく、社内教育にもある程度コミットしてくれるのは本当に素晴らしいです。
社内だけでノウハウを蓄積することは難しいですが、一方ですべてを外注にしてしまうと社内にノウハウが蓄積されません。ベンダーの協力なしにはできない、いわば「セミインハウス」は理想的だと思います。