データコネクション #02
パナソニック「マーケティングROI」改善に向けた新たな挑戦、専門チーム発足でデータドリブンの実現へ
2018/08/14
マーケティング活動のROI(費用対効果)の改善に向けて、多くの企業が積極的にデータ活用に取り組んでいる。そうした中、2017年パナソニック コンシュマーマーケティングジャパン本部は、データ起点で施策を行うための新チームを発足した。その動向と成果について、同本部の明峯恭彦氏に話を聞いた。
データサイエンティストを採用、データ分析を強化
パナソニックは2017年7月、コンシュマーマーケティングジャパン本部に、データを扱う新チームを立ち上げた。それは、従来のようなデータを収集し、分析する機能だけを持つ組織ではない。「データを起点にマーケティング施策を企画することが、将来的な我々の役割です。商品のマーケティングを統括する商品部や広告活動を担うコミュニケーション部と連携して施策の結果を分析しながら、マーケティングをサポートするための企画立案を行っています」と、同社 主務の明峯恭彦氏は説明する。
明峯氏の前職は、マーケティングリサーチ会社のインテージ。今回の取り組みの強化のため、昨年データサイエンティストとして同社に入社した。
「各部門でもリサーチを実施し、検証作業を行いますが、データ活用を促進し、マーケターが持つ知見と融合させることで、これまでよりも高いレベルでのマーケティングを行うことを目的に、今回の組織ができたと理解しています」
施策と結果の相関関係を分析
データの専門家である明峯氏が、オフラインからオンラインまでさまざまなデータを俯瞰して分析し、データ起点のマーケティング施策の立案を目指す。では、具体的にどのようなデータを分析して企画に落とし込むのだろうか。「分析しているのは、Webサイト内の行動や家電量販店などのPOSデータなどで、何か斬新なデータを扱っているわけではありません。テレビCMに接触した人がWeb上で検索し、その後に家電量販店で購入にいたるなど、購買までの過程をそれぞれの階層ごとに分けて分析しているのです」
購買までの流れを構造化するために、商品部やコミュニケーション部門と議論を行った。一方で、数多くの施策やメディアを同時に使う複合的な施策を展開するため、最終的にどの施策が売上につながったのか見えづらくなっている。
「単純に、相関関係の分析と割り切って考えています。出荷情報ではなく実需(顧客が実際に購入したデータ)をゴールに設定して、それぞれの階層ごとの成果をツールを用いて数値化しています。cookieベースでの分析を提案されているケースもありますが、やり過ぎるとかえって分析が難しくなるため、シンプルな仕組みを採用したのです」