データコネクション #02

パナソニック「マーケティングROI」改善に向けた新たな挑戦、専門チーム発足でデータドリブンの実現へ

データを起点に考える文化が浸透

 組織の立ち上げから1年が経ち、データを元にした事業企画の実証段階に入った。ある生活家電では、購買につながるテレビCMの傾向が明らかになったという。

「当社のテレビCMは、どちらかというと製品の機能を訴求する“真面目”なクリエイティブが多いのですが、実はコミカルなクリエイティブの方が検索から購買につながるという結果も一部で見られました。これはテレビCMにとどまらず、他のコミュニケーション施策の参考になるデータでした」(明峯氏)
 
パナソニック コンシュマーマーケティングジャパン本部 主務 明峯恭彦氏

 結果を数値として明示できたことから、意外な反響もあった。それは、社内のさまざまなスタッフから明峯氏の元に「うちの製品も分析してほしい」という要望があったことだ。

「データ分析のための情報収集に時間や手間がかかるため、忙しいスタッフからは敬遠されるだろうと思っていました。しかし、売上に対して何が効いているのか、各部門の方こそ知りたがっていたのです。数値として腹落ちする結果が出ることがわかり、期待値が高まっているのを感じます」
 

消費財データを分析し、トレンド把握

 そうした中で、明峯氏は「データをもとに物事を考えて、話ができる文化が育ちつつある」と感じている。次は、売上データや自社サイトへのアクセス数などのデータを一カ所に集めてダッシュボード化していく予定だ。さらに、家電以外の消費財データの収集も検討している。

「購買サイクルが長い家電と違って、一般消費財は購買サイクルが短いため、トレンドが出やすいのです。たとえば高級ビールが流行すれば、世の中が高級志向に傾いているのでは、という予想が立てられます。一般消費財を先行指標にすることで、コミュニケーションの訴求ポイントをトレンドに合うものに変えることができます」

 今後、明峯氏が目指すのは、分析対象を主要製品全体に拡大していくことだ。データ起点の企画を実施し、PDCAを回転させ、機会ロスや競合からの脅威を少しでも軽減して経営に貢献していきたいと考えている。
 
明峯氏も登壇する
データ活用の可能性と未来を創造するカンファレンス
データコネクト 2018
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