マーケティングアジェンダ2022

昨年は電通がグランプリ 「ヤング・クリエイティブ・アジェンダ」次回開催が決定

 2022年5月25日から28日にかけて国内最大規模の合宿型マーケティングカンファレンス「マーケティングアジェンダ2022」(主催:ナノベーション)が沖縄県・読谷村(ロイヤルホテル沖縄残波岬)が開催され、参加申込が開始しています。今年も若手クリエイターが企画案を競い合う「ヤング・クリエイティブ・アジェンダ」が実施されます。

昨年は、日本たばこ産業(JT)が「タバコの価値向上に向けたコミュニケーション」を課題として設定し、若手クリエイターがクリエイティブアイデアを考えました。日本のトップマーケターの審査により、グランプリに輝いたのは電通チームでした。今回は、ヤング・クリエイティブ・アジェンダが開催された昨年のレポートと開催の背景、今年の情報を紹介します。

「マーケティングアジェンダ2022」の参加企業と協賛企業を募集中。
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クリエイターとマーケターの「出会いの場」~誕生の背景と概要~


 ヤング・クリエイティブ・アジェンダは、世界最高峰の国際広告賞「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル(通称:カンヌライオンズ)」の中で開催されている「ヤングライオンズコンペティション(通称:ヤングカンヌ)」を参考にしたプログラムです。世の中で成功したマーケティングの実例を紐解くと、マーケターの戦略、プランニングとともにクリエイティブが重要なファクターになります。しかし、事業会社は優秀な若手クリエイターを知ったり、出会ったりする機会が多くありません。その課題を解決する方法として、若手クリエイターがつくった作品をマーケターが評価し、お互いの出会いの場を創出する「ヤング・クリエイティブ・アジェンダ」が生まれました。

 企画に協賛したワンパクの代表・阿部淳也さんは開催に至った背景を「マーケティングアジェンダはマーケターの集いですが、マーケティング戦略や施策を実際にかたちにする”クリエイター”の参加者がいないことに違和感を感じていました。また、クリエイティブ業界でも若手が育っているのかが見えていない部分が多いため、マーケターとクリエーターが出会いつつ、若手クリエイター自らが実力を試せる場をつくれたら良いなという思いで協賛しました」と語っています。

  「ヤング・クリエイティブ・アジェンダ」に参加できるのは、クリエイティブ職を2年以上経験している35歳以下の若手クリエイターで、1チーム2人で競い合います。事前の書類審査を通過したクリエイターに対して、マーケティングアジェンダ初日にブランド企業から課題が出され、3日間の会期中にクリエイティブアイデアを出し、最終日にプレゼンテーションします。トップクリエイター、トップマーケターによる審査ののち、グランプリ1作品、ゴールド、シルバー、ブロンズそれぞれ1作品、優秀賞2作品を選出し、発表します。
 
審査員はファミリーマート 足立光氏(審査委員長)、リクルート 萩原幸也氏、USJ 伊藤英夫氏、パイオニア 木村真紀氏、JT 藤原主工児氏が務め、ADKクリエイティブ・ワン、エイド・ディーシーシー、サイバーエージェント、チョコレイト、電通、ディーゼロ、ライトパブリシティ、ワンパクの8チーム16人のクリエイターがアイデアを出した。
 

初開催のグランプリに輝いたのは…? 


 前回、初代グランプリに輝いたクリエイターは、電通の樋口さん、山根さんです。電通は、「タバコには一定の価値があり社会に存在してもよいのではという世論を形成するために」をテーマに掲げて課題を制作しました。大多数がネガティブな意見を持っているタバコ市場に対して、商品としてのタバコではなく、産業としてのタバコのあり方に着目した企画です。

 たばこ税は、酒税やトヨタの法人税、ビルゲイツの総納税額よりも多く、JTは創業当時からタバコを通じ個人に愉しみを提供し、タバコ税で社会の繁栄を支えました。そのためタバコを吸う「喫煙者」とは、社会を縁の下から支える存在であり、1350万人のUnsung Heroを称えるプロジェクト「納税」という共通言語をつくることで、喫煙/非喫煙の垣根を超えてタバコが社会を支えているインパクトを見える化するアイデアを発表しました。

 喫煙所やパッケージ、Webに納税の感謝と賞賛のタグラインを掲載することや、確定申告で納税意識が高まる時期に喫煙者を「2兆円」高額納税者としてPR(高額納税ランキングや長者番付にランクイン)するアイデアです。この施策により、喫煙に対して「たばこで、社会をささえています」という世論イメージを形成し、個人の範囲で愉しむ喫煙は、喫煙を許容してほしいという狙いがありました。



 グランプリに輝いた電通の受賞コメントを紹介します。

 「ヤング・クリエイティブ・アジェンダは、事業やマーケティングの課題をクリエーティブの力で突破することを目指すコンペです。ヤングカンヌなど広告賞のコンペとは一味異なり、事業責任者やマーケターの前で戦略とアイデアの力を試します。沖縄という日常から離れた場で、普段顔を合わせられない同世代のヤングなクリエイティブパーソンと切磋琢磨し、それをトップマーケターにぶつけて共創する。普段の仕事とは違った新しい刺激が得られると思います。運がよければ、友達もできたりします」(電通:山根有紀也さん)。

 「沖縄というパワーワードに魅せられ参加したヤング・クリエイティブ・アジェンダは、クリエーターのためのコンペではなく、広告主のためのコンペです。最終プレゼンも普段接する機会が少ない方々(なんと200人以上)に向けておこないます。企画を考えることはもちろんですが、その発表した企画について、いろいろな視点から、さまざまなフィードバックをもらえることが貴重な経験でした。最終日の夜、開放感に満たされ参加者と談笑しながら飲んだビールは格別でした」(電通:樋口裕二さん)。

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