ダイレクトアジェンダ2022外伝 #01

キューサイの新社長 佐伯澄氏が語る「HUMAN DIAMOND」を軸に1人ひとりの顧客に寄り添う新生キューサイの未来とは【ダイレクトアジェンダ2022レポート外伝_第1回】

 

「HUMAN DIAMOND」で整理し、コンセプトを具体化


 そして、会社のトップである社長がいくらインサイトに対するメッセージをきれいに発信しても、商品やサービスが伴っていなければ、売上にはつながりません。そのため人間として、ココロとカラダを構成する要素をすべて洗い出し、どういう商品があるのかをマッピングした「HUMAN DIAMOND」を作りました。





 このHUMAN DIAMONDが、具体的な施策につながっていくそうです。「ウェルエイジング」や「人生初」を生み出すために、このマッピングを活用することで、どの部分が足りていて、どこが足りてないのか?がすぐにわかります。私もこのような図があるだけで、ずいぶんイメージが付きやすくなりました。 この整理は、ECに取り組んでいる企業であれば、適応できそうです。

 また、「HUMAN DIAMOND」では、カラダとココロの健康を構成する各機能を定量的に測定することで、ウェルエイジングエリアにおける現在の状態を知ることができることも可能です。購買情報だけではなく、「HUMAN DIAMOND」の情報と掛け合わせることにより「この買い物をするお客様には、カラダの健やかさの点でどんなご不安があり、どんな情報やサービスを求められているのか」といった人間の裏の心理や気持ちがわかるようになる、つまりデータを活用したCRMへの展開も意識されています。
 

ミッションビジョンバリューも刷新、社員へも徹底的に浸透


 これだけ情報が整理され、優れたマーケティングの戦略があっても、社員の共感無くして進行することはできません。佐伯社長は、わずか半年の間に一体どうやって社員の心を掴んだのでしようか。



「半年間で、経営陣もミッション・ビジョン・バリュー(MVV)も変えたときに、社内の反発はなかったのでしょうか?」という藤原氏の問いに対して、佐伯社長はこう答えました。

「教育プログラムを順次取り入れています。組織に一人のスーパースターがいても続きません。キューサイには、ブランディングという概念がなかったのでマーケターがメンターになって社員を育てています。また、インターナル用のビデオをつくり、社内で何百回も流しました。すると、自然とミーティングなどで若い人がミッションを話すようになりました。社員が自ら動けるようなわかりやすい可視化されたメッセージがあると浸透が違うことがわかりました。
あとは『価値ある挑戦』が大事です。挑戦は何も時間がかかるわけではありません。クイックウィンをたくさんつくり、勝ちの体験が信頼をつくっていきます」と、佐伯社長は語ります。
   
青山商事 リブランディング推進室 室長補佐
藤原 尚也氏

「わかりやすいMVVがあれば、継続した復唱と成功体験だけでも、十分な理解が得られます」と言います。とはいえ、それでも旧来からの方法に愛着のある社員も多数いて、不満が出てくることは避けられないはずですが、その対応も佐伯社長は時間をかけて実施していました。

「私は200人以上と1on1を実施しています。その際に必ず聞くのは『何を変えちゃいけないですか?』『私に期待するのはなんですか?』という問いです。その中で、社員から『青汁はやめないでほしい』という意見があった」と、佐伯社長は言います。

 セッションの最後に行われたラップアップでも「何を変えちゃいけないですか?」という質問が勉強になったという声がありました。私個人としても非常に勉強になる問いだと思いました。変えてほしくないものは、会社のコアな部分や不満につながるものです。もちろん、変えなくてはならない時もありますが、変える時に十分なケアが必要と解釈できます。

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