ダイレクトアジェンダ2022外伝 #02
資生堂、ZOZO、Mizkanが語るダイレクトマーケティングの現在と未来【ダイレクトアジェンダ2022レポート外伝 第2回】
2022/07/15
各社の施策状況から、どこが真似できるかを考える。WEB広告系(検索・ディスプレイ・ソーシャル・手法)について
ここからは主要ダイレクト企業の施策状況をまとめたスライドに一言コメントを添えて解説していきます。WEB広告系、ブランド系、そして新規施策の3つにまとめていますが、どういう視点で、どのように活用しているのか考えてみてください。このスライドは、2022年の各社のWEB広告に対する施策の一覧です。ここから詳しく書く施策について触れていきます。
ここで注目してほしい点は、純広告の出稿がかなり減っている点です。また、YouTubeへのブランド広告配信も限定的になっています。
資生堂の小椋氏は、「全体的にCPM(CPA)が上がっているので、検索に寄せざるを得ない状況です。そのため、出稿額が全体で上がっているわけではなく、検索に寄ってしまっています」と言います。つまり、効率がデータを見ることではっきりわかるようになったので非効率な広告は出稿しなくなったということです。
「ZOZOでは、過去に、リスティング広告をやめても売上が大きく下がらなかったことがあります。しかし、新規顧客を獲得する上では、価値のあるチャネルだと改めて考えて、数年前から広告出稿を再開しています。クリックアトリビューションによるROAS運用ではなく、地域単位でControl/Treatmentを設定した純増分析をもとに広告運用をしています。デジタル動画広告は、セールのタイミングで売上獲得や新規顧客獲得を目的に活用したり、コスメ専門モールZOZOCOSMEの認知獲得の目的で活用しています」と、ZOZOの山﨑氏は語ります。
山﨑 孝郎氏
このZOZOさんの話は私自身、大変参考になりました。単純なCPAだけではなく、新規顧客への獲得効率を見ることが大事になります。
「YDN・GDNはcookie規制の問題以降、リターゲティング中心に実施している企業は厳しくなっているが、OisixやZENBさんのようにサンプルやお試しを実施している企業は変わらず活用できています」と、シンクロの西井敏恭氏は言います。YDN、GDNは各社かなり効率が厳しくなっているとのことですが、サンプル購入や読み物コンテンツを読ませてリードを獲得するという使い方では有効とのことです。
SNS広告に関しての活用も、各社で大きく異なっていることが伺えました。Mizkanの高橋氏は、「新規事業のZENBで事業立ち上げ時に、認知がない状態だったので、まずはすべての広告を行いましたが、基本的にInstagramの効果が一番良かったです。今でもInstagramは、最も効率が良いです。その背景には、30代~50代の女性ユーザー層が反応してくれたことがあります」と、事業立ち上げの経験から語りました。
※ミツカングループのZENBとは、自然への尊敬と健やかなカラダとココロを育んでいる食べ物に感謝の気持ちを表した「やがて、いのちに変わるもの。」という視点を通して、10年後の人と社会と地球の健康のために始動した新たな食のプロジェクトを指します(ZENBのHPより一部引用)。
高橋 宏祐氏
「Twitterは地域別の成果が測りにくいので出稿していません」と、ZOZOの山﨑氏は言います。同じく各社ともに、Twitterは成果が測りにくいと感じているためか、広告出稿は限定的のようでした。
また、資生堂さんは、ユーザーに対して広くリーチをしていくか、ターゲティングをして狭くリーチしていくかで、デジタルとマス、デジタルの中での広告の使い分けしているとのことでした。そして、いろいろなブランドがあるため、それぞれのブランドとの相性も見定めながら広告を出しているとのこと。まさに、むやみに色々な広告に手を出すのではなく、ブランド・商品と各広告の相性を見極めているということです。
さらに、アフィリエイト広告についても興味深い話を展開していました。「アフィリエイトはブロガーやインフルエンサーが行うのは厳しいですが、権威のある方の声はかえって効果があるようになっています」と、資生堂の小椋氏は言います。
そのため、広告の出稿は限定的になってきているようです。「もはや比較サイトを運営してみてもらうだけの従来型アフィリエイトは無くなるのではないか。今後は一方的な、情報提供ではなく双方向的なUGCも活用したアフィリエイトになっていくだろう」という意見も会場ではありました。