マーケティングアジェンダ2022 レポート #03

カインズ 最高イノベーション責任者が語る「ホームセンターのDX化」が成功した戦略【マーケティングアジェンダ2022レポート第2回】

前回の記事:
グローバルマーケティングで成功する三種の神器とは、元ユニ・チャーム・木村幸広氏が解説【マーケティングアジェンダ2022レポート第1回】
  ホームセンター業界で売上首位のカインズは2018年に「IT小売企業宣言」を掲げ、売場や社内のDXを推進し、リテール業界全体から注目を浴びる存在です。DXを進めるにあたり「4つの戦略の柱」と、「めだまオヤジ大作戦」というユニークな名前の顧客戦略などを実施し、DXを成功させました。カインズ 執行役員CDO兼CMO兼 デジタル戦略本部長の池照直樹氏をスピーカーに迎え、日本アイ・ビー・エム チーフ・マーケティング・オフィサー 執行役員の風口悦子氏がモデレーターを務めた「マーケティングアジェンダ2022」のキーノート「カインズ流の顧客DXとは」からDXの成功の鍵を探ります。
 

DX化に向けた土台作り「第1次中期経営計画」


 セッションの冒頭で、カインズの池照氏はDXの実現に向けて、第一次中期経営計画の中で取り組んだ、次の4つの戦略について紹介します。
    
カインズのデジタル戦略

1. SBU戦略
商品を仕入れて売るだけではなく、オリジナル商品をつくり売ることも仕事。その中で、新たな顧客価値を創造する商品構成を再編していく。

2. デジタル戦略
デジタルを通じて、顧客の煩わしさを解消し、心にぐっと響くような体験を創造する。

3. 空間戦略
店舗空間に統一感を持たせて、カインズブランドを演出していきながらエンジニアリングする。

4.メンバーへのKindness
社員が誇りに思える、働きたい会社にすることで、DX化に向けた土台をつくる。

 これらの戦略について、池照氏は「最初の3つの戦略の柱を支えるものとして、4つ目のメンバーへのKindnessがあります。一般的に小売業はあまり良い労働環境ではないというイメージがありますが、社員が誇りを持って働ける会社にしていくことでDXの土台にしたいと考えました」と説明します。
    
カインズ 執行役員CDO兼CMO兼デジタル戦略本部長
池照 直樹氏

 池照氏がカインズに入社したときは、デジタル領域のチームには実質3人しかメンバーがいませんでした。そこから、どのようにデジタル人材の確保を成功させたのでしょうか。

 池照氏は「新たなデジタル人材確保のためには、今の時代に合わせて社内を変えなければいけない部分がたくさんありました。しかし、社員が2万人もいる会社で服装のルールから給与体系、人事制度までを変える組織変革には時間がかかります。そうであれば、新しく会社をつくったほうが早いという考えで、新会社としてカインズテクノロジーズを設立しました。これにより、多くの社員を採用できました」と述べました。

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録