カンファレンスレポート

Facebook、楽天、テレビ東京、ダイキンが語るメディア未来予想図 「PLAY Tokyo 2018」レポート

個人情報保護の機運の高まり、データ活用の今後

 続いて、メディアデータの活用の可能性について議論された。

 テレビ東京・蜷川氏は、「テレビの約3割がインターネットに繋がっていて、アクチュアルデータを取ることができ、リアルタイムに集計できる。今後、外部のメディアとコンテンツを掛け合わせて、価値を生み出していくことを考えていく」と話した。

 一方で、足立氏から「データ規制が強くなっている」状況を指摘し、他社とのデータ連携に慎重にならざるをえない状況が指摘された。

 それに対して、Facebook・中村氏は個人としての考えとして、

 「二極化が進むと思う。一つはYouTubeやInstagramなどを活用する場合も、データを使ったターゲティングは積極的に行わず、ある程度広いリーチを狙う企業。もう一つは、当社や楽天、Amazonなどのように、外部と連携しなくても大量のデータを保有している企業は、より精緻にデータを活用していく。欧州のGDPRを見ていても、プラットフォーマーにとって外部提供への壁が高くなるが、自社内では活用できる」とした。



 楽天の河野氏も、「中村さんが言うように、楽天もある程度の規模のデータを保有しているため、グループ内では積極的に活用していく。当社の一番の強みは、例えば、テレビCMを見た人がWebで検索して、リアル店舗で購入したという消費行動を追えること。確かにプライバシーポリシーもあるが、重要なことは付加価値を提供できるかである。また、年代によっても違う。若い世代がGoogleマップを使うことで位置情報を提供しているように、便利であれば情報提供するといったことも起きている」と考えを述べた。
 

広告代理店の育成もクライアントの仕事?

 ダイキン工業の片山氏は、「テレビCMがエアコンの売りに繋がっているのかまでは見えづらい。テレビ業界は、イリュージョン。何億円を掛けても認知・態度が変化しましたという不透明なデータしか出てこない。データを隠すことでブランドもテレビ業界も幸せだった時代が長かった。デジタル広告でデータが見えることが当たり前になった今、テレビ業界もデータをオープンして攻めの姿勢に転じたほうがお得。テレビのデータが見られるようになったら、テレビCMの価値が上がる可能性は大きく、ブランドがもっとテレビに予算を投下できると思っている」と話した。

 Facebookの中村氏も、「クライアントからもらうフィードバックで多いのは、『メディアが多すぎて結局、何にどのぐらい費用を掛けていいのかわからない』ということ。ビジネス目的に対して、パズルを組み合わせるのは結局、広告代理店になる。その意味では、広告代理店の重要性が高い」と意見を述べた。

 足立氏は、「たしかに広告代理店を育てることもクライアントにとっては重要。マクドナルドで3年前、キャンペーンをお願いしている大手広告代理店にGoogle Analyticsさえ知らない人がいた。それでも今ではデジタルに精通し、会話もできるようになった。フィーの体系を変えて要求していけば、広告代理店のレベルも高まると思う」と育成の必要性を指摘した。

 今回のパネルディスカッションは、ユーザーに選んでもらえるコンテンツやデータ活用、さらには広告代理店との関係性など、メディアの未来を考える上で重要なポイントが指摘された場となった。
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