ネプラス・ユー大阪外伝 #02

マーケティングにサイエンスとアート、どちらが大事か?【ネプラス・ユー大阪2022レポート外伝 第2回】

前回の記事:
マーケティングの民主化による「変わるもの、変わらないもの」 【ネプラス・ユー大阪2022レポート外伝 第1回】
  オンラインプログラミングスクール「テックアカデミー」を運営するキラメックスでマーケティングを担当している福田保範です。2022年7月21日、22日に行われたマーケティング・カンファレンス「ネプラス・ユー大阪」に参加しました。今回は、そのレポートの第2弾です。

  ネプラス・ユー大阪では、他のカンファレンスと比較して、クリエイティブについて語るセッションが多くて驚きました。「マーケターとクリエイターの関係性が創り出す~人に響くクリエイティブとは?~ 」というテーマで、マーケティングとクリエイティブの関係性を深掘りしたセッションを紹介します。

  登壇者は、ワトソン・クリック クリエーティブディレクターの山崎隆明氏と、リクルート マーケティング室 CD萩原幸也氏でした。山崎氏はリクルートや日清食品、大日本除虫菊、TOTO、アイフル、コインチェックなど、さまざまな企業の広告で実績があるクリエイティブディレクターです。このセッションでは、「広告が人に響くようにするためにはどうすべきなのか」という視点で進められていきました。
 

先月好きだったCMは何個思い浮かぶか


 マーケティングにおいて代表的な活動のひとつであるCM。最近ではテレビだけではなく、YouTubeなどの動画サイト、サブスク型動画配信サービスなどCMを見ない日はないでしょう。しかし、リクルートの萩原氏は「先月見たCMの中で、印象に残ったものは何ですか?と問われても、パッと思い出せるのは多くても3つだ」と言います。確かに、マーケターが集まったネプラス・ユーの会場で聞いても1、2つという声が大半でした。

 というのも、テレビCMは関東では毎月4000銘柄ほど流れていて、YouTube内のCMも入れるとその数は数万本にも上ります。では、その中で良い広告とは何なのでしょうか。



 萩原氏は「それは『目的に効く動画』だと考えます。たとえ、印象に残っても目的の実現に効果がなかったら意味がないからです」と言います。この「目的に効く」とは、どういう意味なのか、次から深掘りしていきます。
 

サイエンスとアートは二項対立なのか


 ここで、萩原氏がまとめた興味深いスライドをご紹介しましょう。



 CMの制作においても、サイエンスとアートは度々、二項対立で語られ、どちらが大事か、どちらを優先させるか?という議論になりがちです。しかしその考え自体、改める必要があります。サイエンスとアートも、その両方が必要なのです。どちらか片方のみでは、本質的な解決は望めません。

 萩原氏は「マーケターとクリエイターの最適な協動の仕方という議論もよくありますが、マーケターの思考をサイエンス、クリエイターの思考をアートと置き換えるかもしれません。しかし、これにも主従はなく、目的に効かせるために両者の思考を活かし合うことが重要です。 マーケティングとクリエイティブも二項対立の対象ではなく掛け合わせを考えるべきものなのです。」と両者の必要性について語ります。このサイエンスとアートのまとめは、非常に分かりやすく、耳が痛いと感じる人も多いのではないでしょうか。
   
リクルート マーケティング室 CD
萩原 幸也氏

 企業が消費者に対して、どのような価値提案をするとニーズに刺さり、欲しくなるのか。それには、次のような視点から絶対にサイエンスが必要です。

・現状の4Pや3Cといった市場分析やN1分析、顧客分析をベースにレッドオーシャンではなく勝てる確度が高い市場を探す
・さらに、消費者への提案が実際に刺さるのかどうかを検証する


 一方で、企業の考える訴求点を「これ、欲しいでしょ?」とそのまま消費者に伝えても動きません。それは山崎氏から説明がありました。

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