ネプラス・ユー大阪レポート
マーケター必読「腹落ち」と「なぜか残る」2つの伝え方とは
2022年7月21、22日に大阪にて初開催されたマーケティング・カンファレンス「ネプラス・ユー大阪」に参加しました。今回は、私がスピーカーを務めた「ラップアップセッション」について紹介します。モデレーターはoffice K 代表取締役の田岡敬氏、スピーカーはリクルート マーケティング室 CDの萩原幸也氏、ベストインクラスプロデューサーズ 代表取締役社長の菅恭一氏、そして私です。今回は私の発言と、他の人の発言で気になったこと、そして2日間を通しての感想などを中心にお伝えしたいと思います。
伝え方には2つあると認識できたネプラス・ユー大阪
カンファレンスの最後のプログラムであるラップアップセッションは、全体を振り返り、それぞれの登壇者が学んだ視点を共有し合う場です。しかし、とにかく準備の時間がないですね(笑)。直前のキーノートセッションを含めて、すべての公式セッションを聞いておかないといけません。そのため、打ち合わせの時間が少ないんです。
今回もランチタイムに集合し、事務局から一言「あまり決めつけるような言い方はしないように」という説明があった程度で、時間にして数分でした。あとは、開始10分前に集合して、話す順番を決めて本番に入ります。それでも皆さん慣れているので、成立してしまうんですね。
今回、私がセッションを聞いて持ち帰ったポイントは「伝え方には2つある」と認識できたことです。ひとつは「腹落ちする伝え方」と、もうひとつは「なぜか分からないけど残る伝え方」の2つです。前者は、初日の「『メタバース』『NFT』は単なる流行り言葉なのか」の、J.フロント リテイリング 執行役常務 グループデジタル統括部長の林直孝氏、Psychic VR Lab 取締役COOの渡邊信彦氏、PwCコンサルティング合同会社 パートナー 執行役員の馬渕邦美氏が登壇したセッションからの学びです。
「NFT」という言葉は、聞いたことはあるし、何となくは分っているつもりです。しかし、何がよいのか、そして一時の流行りではなく、今後も世の中に根付いていくものなのか、どうなのかな、と思っている人も多いのではないでしょうか。少なくとも、私はそうです。
セッションの中で、バンクシーの絵を燃やすシーンを動画に記録して代替不可能なデータにするという話がありました。理屈は分かりますが、バンクシーの絵そのものを燃やすこと自体がもったいないと思って見ていました。しかし、その後セッションの中でスニーカー好きは履かずに飾り、写真を撮ってSNSに上げて悦に入る。そのため、リアルな靴である必要はなくてNFTでいいのではないか、と言われて納得しました。左脳に届き、ロジカルに腹落ちしたんですね。
次に、後者の「なぜか分からないけど残る伝え方」は、初日の「歴史は繰り返すのか ~レジェンドから紐解く『人の感情の機微を描く』とは?~」の、ライトパブリシティ 代表取締役社長の杉山恒太郎氏と、ワコールホールディングス 未来事業開発室の猪熊敏博氏が登壇したセッションからの学びです。その中で、杉山氏が制作したサントリーローヤルのCMに注目しました。
「何がいいのか分からないけど何かいい」「とにかく気になる」。でもそれがなぜなのかが分からないですよねと、コピーライターの日下慶太さんと話していました。それが、2日目のワトソン・クリック クリエイティブディレクターの山崎隆明氏が登壇されたときに言っていた「生理、本能を刺激する広告は、強い。右脳に直撃する」という話で納得できました。この一言で、私の左脳に届いたんですね。
つまり、伝えるには「腹落ちする伝え方=左脳に届ける伝え方」と「なんか分からないけど残る伝え方=右脳に届ける伝え方」の2つがあるなと納得できたことが、今回の学びであり、持ち帰ったことでした。