マーケティングアジェンダ2022 レポート #05

なぜスターバックスの店員は良質なブランド体験を提供できるのか?【マーケティングアジェンダ2022レポート第3回】

 

ブランドの「We are」を規定するMVV


富永 ここで改めて、ブランドとMVVの関係性を整理したいと思います。
  
Preferred Networks 執行役員 最高マーケティング責任者
富永 朋信氏

まずMVVのMであるミッションとは、会社を「We」という主語にして我々は何を成し遂げるかです。次のビジョンは、どういう会社になることによって、そのミッションを成し遂げられるのかというものです。最後のバリューは、ビジョンを成し遂げるために、どんなプライオリティを持ち、社員に動いてもらうかを言語化するためです。

このように概念整理をすると、ミッションとビジョンは会社を主語としたときに、「我々は何者であるか」を表す「We are」の要素になると思います。一方でバリューは「我々はこういう風に振る舞う」といったミッションやビジョンを達成するための「We behave」ではないかと考えます。

つまり、ブランディングをするとき、ブランドのバリュープロポジション(価値提案)を決めることは、ブランドごとの「We are」を決めることに近いと気づきます。

一般的な会社では「We are」にあたるミッションやビジョン、「We behave」にあたるバリューや行動規範を決めて満足し、全社の朝礼で暗唱するなどを実践します。しかし、このようなことを実践しても人の行動は変わりません。社員にブランドやバリューに基づいた行動をしてもらうためには、そこからさらにもう一段上の「人間理解」に基づいて現場に落とし込めるような工夫や仕組み、あるいは社内文化が必要となります。

スターバックスと一般的な会社で違う部分は、そのあたりに秘密があるのではないかと睨んでいます。

加藤 富永さんの話を聞いて、改めてミッションやビジョンが大事だなと思いました。私自身、以前から認識していたつもりですが、実際にスターバックスに入ってから理解を深めた次第です。

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