ライジングアジェンダ2022

いまマーケティング業界に、若手マーケターのコミュニティが求められている理由とは【ライジングアジェンダ2022座談会企画】

 

絶対にひとりでは太刀打ちできない現代


――マーケティング業界を見渡したとき、今の若い世代が置かれている状況について、どう思いますか。

 正直なところ、明確には分からないです。ただ、私が若いときのほうが議論すべきアジェンダが明確だったと思います。当時は、今でいうDXよりも、もっと手前のデジタルシフトが課題だったんです。

私の場合、所属していたトラディショナルな広告会社をどうデジタルシフトさせ、生き残らせるかというアジェンダでした。当時はデジタルに関する情報が少なく、手段や方法論も成熟していませんでした。ですので、新しく登場した概念や方法論に積極的に取り組むことで自分も組織もアップデートできたので、今よりも取り組みやすい環境だったように思います。

今は、マーケティング思考があるのが当たり前で、テクノロジーやデータ、DX(デジタルトランスフォーメーション)といった言葉も一般的に使われるほど普及しています。ひとりのプレイヤーがどこに自らのミッションを置いて、アクションするのかが少し分かりにくくなっていると思います。

大槻 そうですよね。私もP&Gでブランドマネージャーを経験し、今は資生堂のDX本部でDXに取り組んでいますが、すごく難しくなっていて、ひとりでは絶対に太刀打ちできない環境だと思います。たとえば、単純にデジタル広告の仕組みを知っていれば何かの課題を解決できるかというと、もうそんな時代ではありません。では、何を学ぶべきかを考えても、総じてよく分からないんですよね。

―― 石戸さんは、どう思われますか。

石戸 現在は、ネットで何でも情報が取れるようになっているので、リアルな場で冷や汗をかく機会は少なくなっていると感じています。果たして、そういう場が求められているのかは分かりませんが、個人的には冷や汗をかかせる側の立場になる必要があると感じていますね。冷や汗冷や汗ばかり言っていて、汗っかきみたいですが(笑)、つまり健全な緊張感や危機感を持ったり、自ら機会をつかみにいったり、自発的に成長意欲を駆り立てるという意味です。

私が約10年前に初めてマーケティングのカンファレンスに参加したときは、サイバーエージェントの子会社であるCyberZの営業責任者をしていました。そこではスマートフォンの広告枠だけに配信される広告を提案していましたが、おそらく広告主の悩みからすると狭い話で、どうにも広告主に刺さらず、大手広告主の宣伝部長と会える機会もなかなかなく悩んでいました。そこで、広告主の宣伝部長や経営者が何を考えていて、スマートフォン広告にどうしたら価値を感じてもらえるのかを知るために、そのような人たちが参加しているカンファレンスに参加して、広告主の状況や課題をより理解を深めたいと思いました。

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