B2Bアジェンダ2022外伝 #01

HOW中心のBtoBマーケティングから脱却するために必要な視座とは【B2Bアジェンダ2022レポート外伝 第1回】

  オンラインプログラミングスクール「テックアカデミー」を運営するキラメックスでマーケティングを担当している福田保範です。2022年10月12日、13日に行われたBtoB企業のマーケティング部門の責任者が集結するカンファレンス「B2Bアジェンダ2022」に参加しました。今回もキーノートや公式セッションが、とても参考になる内容でしたので、いちマーケターとしての見解を入れつつ、いくつかのセッションをレポートします。今回は、その第1弾です。

「現在のB2Bマーケティングに足りないものとは?」というテーマで、レノボ・ジャパン マーケティング統括本部 統括本部長 チーフ・マーケティング・オフィサーの劉西喬氏、マネーフォワード 執行役員 グループ横断領域担当 兼 ADXL 代表取締役社長の原田聖子氏、DX JAPAN 代表の植野大輔氏、日本HP 経営企画本部 部長の甲斐博一氏が、BtoBマーケティングの全体像やHOWばかりが注目されてしまう現状、BtoCマーケティングとの違いなど、BtoBマーケティングの現在を紐解いた議論を紹介します。
 

BtoBマーケティングの全体像の理解


 早速ですが、セッションの途中で甲斐氏から提示された「B2B Marketing Field of Play」というBtoBマーケティングの全体像を俯瞰した図を紹介します。この図がB2Bアジェンダの中で最も参考になったという参加者の意見も多く聞かれました。「BtoBマーケティング」と、ひと言で言っても、これだけ細分化され、どこのフェーズのどの部分を言っているのか、まずはそこの認識合わせが必要です。



 セッションでは「現在、実践されているBtoBマーケティングをどのように見ていますか?」という甲斐さんの質問からはじまりました。
   
レノボ・ジャパン
マーケティング統括本部 統括本部長 チーフ・マーケティング・オフィサー
劉 西喬 氏

 シーチャウ氏は、「ターゲットに対する調査を行わずにHOW(施策)ばかりを回している印象で、セールスとの関係構築が肝となっているケースが多いです。マーケティングの全体の整理による改善ポイントの見極めと、成果を最大化するクリエイティビティをいかに出すか、この2つがポイントとなります」と話します。
   
DX JAPAN 代表
植野 大輔 氏

 続いて植野氏は、「BtoBマーケティングは、セールスのためのアシスタント・サポートという位置付けになりがちです。目の前の数字ばかりを追ってしまい、2、3年後を捉えて『市場を整える準備』に取り組んでないケースが散見されます」と語ります。

 シーチャウ氏と植野氏からは、現在のBtoBマーケティングに関してHOWに寄りがちであり、短期的な数字を追うセールスのサポートとしての役割が中心となってしまっているという提言がありました。

 一方で原田氏からは「BtoBマーケティングは、ボラティリティ(変数)が少ないので再現性があります。また、方法論が確立されている点も興味深いと言えるでしょう。いわば教科書通りに実施し偏差値を高めることと、組織の柔軟性の両方が重要です」とSaaS事業者の観点から話します。

 これに補足して、植野氏からも「確かに、SaaSのマーケティングはサイエンスの色が強いです。一方、合理化を進めていくだけでは、計画以上の成果が得られづらく、何よりいつか成長速度が止まってしまいます。そのため、多様な組織で統括的に非連続のジャンプをどう実現するかを考えることが大事です」と続けます。BtoBマーケティングならではのサイエンスが重要であるものの、それだけではけっして十分ではないという共通認識があるようです。

 特に甲斐氏が紹介した「B2B Marketing Field of Play」の全体像において、「実行フェーズ」ばかりが議論されがちだと各自が答えました。

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録