B2Bアジェンダ2022外伝 #01
HOW中心のBtoBマーケティングから脱却するために必要な視座とは【B2Bアジェンダ2022レポート外伝 第1回】
2022/11/21
BtoBマーケティングとBtoCマーケティングは同じなのか?違うのか?
次に「BtoBマーケティングとBtoCマーケティングは同じであるか?」という、マーケターにとって非常に興味深いテーマが議論されました。
植野氏は「両方を経験してみて、BtoBとBtoCのマーケティングは大きく違う印象です。スポーツで例えると、アスリートの精神性みたいなところは共通だとしても、野球とサッカーくらいプレースタイルが異なるイメージです。。BtoCでは衝動買いが起りますが、BtoBは検討プロセスが長く登場人物も多く、衝動買いは、基本、ありえません。そのため、BtoBとBtoCでは再現性やアプローチがだいぶ異なります」と語ります。
一方で、シーチャウ氏からは別の意見が出ます。「BtoBもBtoCもマーケティングにおいて、お客さまが最も大事であることは変わらないと考えます。 実際にBtoBでもカスタマージャーニーが存在し、その中でどう顧客をナーチャリング(顧客育成)していくのか、人の気持ちをどのように動かしていくのか、そこを突き詰めていくことが大事です」
一見、逆の意見のように感じますが、これはフェーズによって異なるのであって、両方とも大事な視点であると原田氏はまとめます。
兼 ADXL 代表取締役社長
原田 聖子 氏
原田氏は「我々であれば、なかなかリーチできない首都圏以外のエリアにどうアプローチするかが課題です。デジタルマーケティングやDM、展示会など、前々から変わらない手法でコネクションをつくっていくことも重要になります。ここでのポイントは、どれだけ顧客の解像度が高いか、そしてどれだけ顧客を理解しているかの2つになります。再現性があり合理的な数値の部分と、人の心を理解した部分の両方が必要となります」とまとめます。
私は、短期的な数値をつくるためのサイエンスと、中長期的な視点を見出すための調査、そして、その両方に顧客理解が必要になるという整理はとても腑に落ちました。実際、植野氏も展示会で顧客のリアルな声を聞くことは、マーケターが顧客理解をする上で重要な機会のひとつであると力強く話していました。
また、施策を実施するときのPDCAという観点でも、スピーディーにできる部分と中長期的な部分の両方が必要であるという意見がありました。
「BtoCは認知を得るためのコストがかかり再現性が低いです。一方で、BtoBは小規模でトライアルが可能であり、顧客からのダイレクトフィードバックを得やすいので、比較的PDCAは回しやすいです」と、シーチャウ氏は話します。
植野氏は「BtoBでは、中長期的なお客様との付き合いが大切です。アカウントを開いて頂いてから、オンボーディング、カスタマーサクセスと、LTV最大化が始まります。むしろBtoBでは、買って頂いてからが本番とも言えるでしょう」とBtoBならではの特徴を話します。
この意見だけでも、BtoBとBtoCのマーケティングで同じ部分と明らかに異なる部分、それぞれが整理できたのではないでしょうか。