マーケティングアジェンダ2022 レポート #07

A.T.カーニー梅澤氏とファミマ足立氏が語る「観光立国・日本」への道筋とは 【マーケティングアジェンダ2022レポート第4回】

 

ナイトタイムエコノミーの事例と大切にしているスピリット


足立 ナイトタイムエコノミーの取り組みも少し教えてください。

梅澤 一つ例を挙げると、大阪の道頓堀の船上パーティを支援しました。道頓堀の船着き場でインバウンドのお客さん向けにチケットを売り、船が出航するとDJパーティになるという仕掛けです。ボートの営業終了後は、お客さんは道頓堀周辺の飲み屋街に流れていくので、地域への経済貢献にもつながるコンテンツです。



また、宮崎県は人口あたりのスナック軒数が日本一ですが、宮崎市内の歓楽街「ニシタチ」には巨大なスナック集積があります。我々チームはこのスナック街のブランディングをご支援しました。「スナックプライド」というプロジェクトでニシタチの魅力を発信し、ニシタチブランドのキービジュアルを制作しました。また、「スナック入り口」という名前のスナックも作りました。そこのママがお客さんの様子やお酒の強さなどを見て、2軒目3軒目をおすすめしてくれます。スナック自体が案内所になっているわけです。この取り組みは、何とグッドデザイン賞も獲得しています。

私が、さまざまな活動で大切にしているスピリットは「大事だと思ったら全部やってみる」ことです。私は経営コンサルタントとして、大企業のイノベーションを長年ご支援してきましたが、大企業が頑張るだけでは不十分だと感じていました。だから、スタートアップ主導のイノベーションを後押しするために、国内最大級のイノベーションセンター「CIC Tokyo」を2020年に立上げました。CICが一番誇りに思っているのは、設立1年半で280回のイベント、しかもコロナ禍にもかかわらず、ほとんどがリアルのイベントとして開催してきたことです。イベントを開催し、人が集まり、繋がりが生まれ、そこから新しい会話やアイデアが出てくるのです。また、私は月1回、「麦ノ音」という新宿のレストランバーでDJイベントを開催しています。これも私的にはカルチャーとまちづくりを繋ぐという活動の一環です。
 

観光を日本のトップの輸出産業にするために


足立 今回の「マーケティング・アジェンダ」で、なぜ観光立国の話をするのかと、不思議に思った方もいらっしゃったかもしれません。しかし、ここまでの話でわかったと思うのですが、これは壮大なマーケティングなんです。日本にあるさまざまなものを組み合わせて、海外に向けて発信し、来訪してもらい、お金を落としてもらう。まさに、日本全体のマーケティングが観光だと考えたので、梅澤さんに話して頂こう、ということになったんです。我々も日本の観光力、つまりはマーケティング力をもっと伸ばしたいと思っているのですが、どのような貢献ができますか。

梅澤 皆さんはマーケティングやクリエイティブな仕事をしていると思うので、自分の会社の仕事でも、兼業でもいいのですが、特に気になる地域があったら、そこにコミットして、コンテンツ開発やプロモーションの専門家としてサポートしてほしいと思います。

我々のチームも実は観光を長く経験した人は、ほとんどいないんですよ。観光以外のセクターでカッコいい仕事をしている人が集まり、みんなで観光の仕事をしたら、日本の観光は第2の輸出産業どころかトップになると思っています。

足立 今後、いろいろな場所へ観光や旅行、ビジネスで行くときに、もう一歩進むために、どんなことをしたらいいでしょうか。

梅澤 まずは、地域を歩き回ることをおすすめします。ホテルにこもっていたら、ホテルが良かった、悪かったという感想で終わってしまいます。私はどこのエリアに行っても、自分の足で歩き回ります。余り知られていない秘境のような場所、未開発の文化のかけらを探すことが多いです。田舎に行けば行くほど、そういう発見や自分自身の新しい出会いに繋がってくのではないかと思います。

足立 そのぐらいの行動力もあり、あちこち行かれているので、ぜひ今後とも「観光立国」に向けてよろしくお願いします。我々もできるだけ協力したいと思っています。本日は、ありがとうございました。
   
対談終了後の梅澤氏(左)と足立氏(右)

このレポートは、2022年5月に沖縄で開催された「マーケティングアジェンダ2022」のキーノートです。沖縄の熱狂を東京でも感じてらうため、2022年12月8日から9日にかけて「マーケティングアジェンダ東京2022」(主催:ナノベーション)が都内(ベルサール新宿セントラルパーク)で開催することが決まりました。マーケティングアジェンダの東京開催は、今回で3年目。詳細は以下のリンクから、どうぞ。

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