リテールアジェンダ2022レポート #01

ファミマ 足立光氏とサツドラ 富山浩樹氏が語る「小売業のマーケティングの極意」【リテールアジェンダ2022レポート第1回】

 

競合から奪えるカテゴリは奪う


足立 最初のキャットフードの話に関しては、ホームセンターも競合ですよね。売上を上げるために、競合のどんなところを見ていますか。

富山 それもカテゴリーごとに決めていて、他の競合からどのカテゴリーを奪うかを設定しています。そこで見ている部分は、購入頻度や価格帯などです。たとえば、狭い部分でいうとワークマンさんも競合で、陳列量などを見続けて購入頻度が一番高く売れている商品を調べると、グローブと軍手という結果でした。さまざまな業界の競合から奪えるカテゴリーを設定してそれらを組み合わせながら店舗づくりをしていくことが重要になります。

足立 その例でいうと、ファミリーマートではハンカチが同じです。これまでは「いかにも緊急用」の品ぞろえしかなかったのですが、デザイン性のあるハンカチをコンビニに置いたらしっかりと売れたので、面白いと思いました。ちなみに、サツドラさんにとってコンビニが対想定競合になるカテゴリーはありますか。

富山 はい、コンビニは多いですよ。最近では、セブンイレブンさんがダイソー商品を取り扱い始めましたし、先ほどのファミリーマートさんのタオルもそうです。我々は非食品が主体なので、そのカテゴリーを奪われていくと身を削られる思いですよ(笑)。
  
「ファミマのボトルキープ」サービスについて語る足立氏

足立 昨年も、今年も実施した「ファミマのボトルキープ」サービスでは、24本購入すると5本無料になる値段設定にし、ネットで飲料を購入する価格と近くなるようにしました。ファミリーマートで購入すると、24本買って5本無料で同じ値段、かつ違う種類のドリンクを選べます。我々は他社のコンビニを競合だと思っていますが、それだけではなく、ドラックストアやECサイトもカテゴリーによっては競合になります。ひとりの消費者は、同じ商品を購入するのに、同じ日にドラックストアに行き、コンビニに行き、スーパーマーケットにも行くので、すべて競合と言えます。

富山 そうなんですよ。たとえば我々の競合であるツルハドラックさんは、北海道でシェアナンバーワンですが、サツドラと合わせると道内で85%程度のシェアがあります。でも、お客さま調査を実施すると、サツドラとツルハドラックさんのどちらも行っているお客さんが6割程度いるんです。お客さまはどちらの店舗にも行きますが、カテゴリーによって購入する商品を使い分けているんです。そのため、いかに選ばれるカテゴリーを増やしていくかが非常に重要になります。そこにECが参入してきているので、ここ数年は複雑性が増していると感じています。

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