リテールアジェンダ2022レポート #01

ファミマ 足立光氏とサツドラ 富山浩樹氏が語る「小売業のマーケティングの極意」【リテールアジェンダ2022レポート第1回】

 

変わっていく部分と変わらない部分をバランスよく見分ける


足立 小売業の客層は、若い小中学生から高齢まで幅広いですよね。サツドラさんは、どの辺で勝負していますか。

富山 やはり客層を狭めるのではなく広めなければならないので、世代ごとに施策を分けることが重要だと思います。わかりやすい例でいうと、デジタルなこの時代に新聞やチラシで広告を打つことは少なくなっていますが、60~70代のお客さまには、やはり紙面のほうが効きます。

足立 そうですね。今の話に付け加えて、どういう広告の内容にするかもすごく重要だと思います。たとえば、高齢者向けの商品であればCMのナレーションのスピードをゆっくりにしたり、その世代の人でも知っている有名人を起用したりするなど、工夫しなければ何のCMなのかも分からないまま終わってしまうと思うんです。

そのため、デジタルネイティブな10~20代の人からシニア世代まで全体を見て、その両方を理解することが大事だと思います。ただ、今後の日本はどんどんシニア化していくので、購買という側面ではシニア層が増えてきます。一方で歳をとるほど商品を買わなくなるので、若い世代も大事になってきます。流通業では、どこかにターゲットを絞るのではなく、比較的広い層に対して響く施策や来店して頂けるような重要カテゴリーを選んで、PDCAを回していくことが重要だと思います。

富山 そうですね、特に我々は地方でビジネスを行っているので、シニア化が進んでいることを感じています。さらに、売上を上げるポイントとして、どのような購買体験ができるかも非常に重要だと思いますね。都心ではセルフレジは当たり前ですが、まだ1店舗もセルフレジがない地方などで急に始めてしまうと、使い方が分からないと非難轟々でお客さまは離れてしまうでしょうね。
  
対談中の富山氏(左)と足立氏(右)

足立 最後に何か売上を上げるために、気をつけたらいいということはありますか。

富山 商品の購入の仕方やお客さまの消費行動は常に変化しています。オフラインとオンラインの組み合わせでいえば、変化が激しいことはチャンスだと捉えています。そこを見逃さず、購入される存在になることが大事だと思います。足立さんもぜひ最後に一言お願いします。

足立 私からは2つです。売上を上げるために客単価を上げるということはもちろん大事ですが、客数を上げるという部分も意識して欲しいです。小売業のベースはお客さまの母数を増やすことだと思います。もうひとつは、富山さんから常に変化するという話がありましたが、実は変わらない購買行動や変わらない地域もあります。そのため、変わっていく部分と変わらない部分を見極めて、バランスよく取り組んでいくのがいいと思います。富山さん、本日はありがとうございました。

富山 ありがとうございました。
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