ライジングアジェンダ2022外伝 #04

ワントゥーテン CEOの澤邊氏が語る、「没頭力」とは【ライジングアジェンダ2022レポート外伝 第4回】

前回の記事:
ライフネット生命 森社長が語る、ファイナンス視点から眺めるマーケティングとは【ライジングアジェンダ2022レポート外伝 第3回】
 オンラインプログラミングスクール「テックアカデミー」を運営するキラメックスでマーケティングを担当している福田保範です。2022年12月7日に行われた、35歳以下の次世代を担うマーケターを集めたカンファレンス「ライジングアジェンダ2022」のレポート第4弾になります。

「ライジンダアジェンダ2022」では、先輩マーケターの経験と知見から学びを得る「This is my Story」というセッションが開催されました。今回のレポートでは、経験豊富な経営者・リーダーのストーリーを中心に、 私の学びも合わせてお届けします。
 
 私は今38歳でさまざまな人の話を聞いてきましたが、こういった違う業界の方の経験を聞く機会は非常に貴重です。それぞれが信念を持って仕事に取り組んでおり、大変参考になると共に刺激を受けました。読者の皆さまも、共感する部分は積極的に取り入れて、レベルアップの材料にしてもらえればと思っています。

 第4弾は、ワントゥーテン 代表取締役CEOの澤邊芳明氏です。同氏が社長を務めるワントゥーテンは、エクスペリエンスデザインを提供する会社です。AI技術では、ソフトバンクのPepperの言語エンジン、TOYOTAの電気自動車の自動運転プログラムなど。XR技術では、ドラゴンクエストのXRコンテンツと紹介すれば、同社の技術力と信頼性の高さがイメージできるでしょう。澤邊氏は自らのストーリーについて、次の3つの視点を語りました。ここでは、澤邊氏の発言をそのまま切り取り、紹介したいと思います。
 

(1)「ポジティブスイッチ」




「大学に入学したばかりの18歳の時に、バイク事故で頚椎を損傷し、首から下が一切動かせなくなった。 医者からは一生治らないと言われた。そんなはずはないと2年半必死でリハビリに取り組んだが、元には戻れないことを実感し、絶望の淵に立たされた。 しかし悩み抜いた先に、今はいつか治るための途中経過だ、状況を嘆くのではなく、一切受け入れずに本来送っているはずの人生を取り戻そう、と発想を切り替えた。そして24歳の時に復学し、その後、現在の会社を設立するまでになった。

 この経験から学んだのは、人間は色々な課題に直面するが、その中でも解決できないことに、囚われてしまうこと。解決できないことは早めにジャッジして諦める。そして解決できる課題に取り組んでいく。この前向きな現実逃避『ポジティブスイッチ』が大事だった。」
 

(2)「継続とピボット」


「ワントゥーテンは、はじめはWebサイトの制作会社として成長した。病室にずっといた中で、インターネットを通じて世界が広がった。精神・思考的な活動にはハンディキャップがないことに気づいた。インターネットでは自由になれる。そこに感動し、着目した。

 2010年代に入ってモバイルのアプリがでてきた。そして半導体などの技術面での革新が起きた。自分自身が精神世界だけでなく、現実世界でも自由になれる可能性を感じることができた。そこで、VR、XRに注力することにした。今後、スマートグラスの登場で、ハンズフリーでの情報提供が始まる。マーケティングにおいても間違いなく重要になる。

 デジタルのエクスペリエンスデザインを提供している国内の会社としては、当社は一番という自負がある。この領域に継続して取り組み続けてきたことの強さがここにある。

 仕事において新しいことへのチャレンジは必要だが、30代に入ってからは何か一つを選んで、それを極めていったほうがいい。あれもこれも手をつけて何も成就していない人を何人も見ている。ただ、変わらなくていいということではなく、根幹は変えずにピボットしていく必要がある」
  
ワントゥーテン 代表取締役社長
澤邊 芳明 氏

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