マーケティングアジェンダ東京2022外伝 #01

コルク佐渡島氏が語る、マーケターに求められる「編集的視点」【マーケティングアジェンダ東京2022レポート外伝 第1回】

 オンラインプログラミングスクール「テックアカデミー」を運営するキラメックスでマーケティングを担当している福田保範です。2022年12月8日、9日に行われた、「マーケティングアジェンダ東京2022」のレポートの第1弾になります。

 今回は、「What’s “so what?”?」というテーマで、スピーカーとしてコルク佐渡島庸平氏、モデレーターとしてPreferred Networks / SVP 最高マーケティング責任者の富永朋信氏が登壇しました。編集者である佐渡島氏とマーケターである富永氏が、プロダクト・サービスの物語を引き出す方法や「編集者とマーケターの共通項」を探りました。
 

マーケターと編集者の役割はとても似ている?


 さて、本題に入ります。佐渡島氏は、新卒で入社した講談社時代に「宇宙兄弟」「ドラゴン桜」「バガボンド」「働きマン」といった作品の編集を手がけた知る人ぞ知る編集者です。2012年にコルクを創業し、「物語の力で、一人一人の世界を変える」をミッションにしたクリエイターエージェンシーとして、作品編集や制作進行の管理、新人マンガ家の発掘・育成、ファンコミュニティの形成・運営などを行っています。

 一方で、富永氏は、日本コカ・コーラ、西友、ドミノ・ピザジャパンなどマーケティング職を9社で経験し、西友、ドミノ・ピザ、現在のPreferred NetworksなどではCMOを担っているトップマーケターです。


 まず、佐渡島氏から富永氏に「マーケティングとは何でしょうか?」という本質を突いた質問が投げかけられました。それに対して富永氏は、「人の心や気持ちに働きかけて、態度や行動を変えていくすべてだと定義している」と語ります。
  
コルク 代表取役社長
佐渡島 庸平 氏

 これに対して佐渡島氏は、「私が編集者を志したのは、魯迅がきっかけでした。医者だった彼が自分が治さなきゃいけない対象は、体ではなく心だと思って作家になったというエピソードを聞いて、私は、行動を変えたり、影響を与えたりするものはすべて『物語の形』をしていると考えています。

 マーケティングをするときは、プロダクトの開発物語、顧客体験の物語が消費者と企業との間に介在していると考え、物語の力で一人ひとりの世界を変えていくということが大事です。決して、物語で世界そのものを変えようとしてはいけません。物語が一人ひとりを変容させられるようにつくられているならば、多くの人から限りなく似た反応を得られ、似た方向に動かすことができ、結果として世界を変えることができると思っています」と、このセッションの答えともいえる話がありました。

 ここから、この「一人ひとりを変容させることのできる物語のつくり方」についての話が続きます。

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