ダイレクトアジェンダ2023レポート外伝 #02

徹底した消費者視点の重要性とは?【ダイレクトアジェンダ2023レポート外伝 第1回】

 

テクノロジーを活用し、より顧客視点で活動する


 最後に、西井氏から「今後、3年間で起こるイノベーション」について、マーケターがどういうことに対応しなければならないかということが提起されました。

藤澤 トヨタが自動車会社からモビリティカンパニーへと舵を切った様に、カテゴリーの垣根がなくなっていくと考えています。健康食品や美容商品といった業界固有の価値は相対的に陳腐化していき、顧客のエンドベネフィットに寄り添った価値提供がより重要になってくると思います。

猿渡 いい製品をつくるという意味では、大幅に変えるのではなく「ハードで世界を変えられる」という点を突き詰めていきます。しかし、Chat GPTやAIなどの革新的なツールが登場し、クリエイティブや分析にかかる時間が大きく減っていきます。今後は、どうテクノロジーを活用し、生産性を高めていくかがより重要になってきます。

 今後はさらに大手ブランドのD2C(Direct to Consumer)化、D2Cブランドのリテール化が進むと考えています。本来、大手企業のほうが商品開発は得意なはずなので、アジャイル開発に取り組むことでD2Cブランドの領域に踏み込んでくると思います。

一方、D2CブランドもBASE FOODやクラシコムのように伸びている企業が増え、予算がなく大規模に取り組めないということはなくなり、群雄割拠になっていくでしょう。

 最後に、私の感想を紹介します。今回のセッションのまとめとしてテクノロジーを活用しつつ、AIを使いながら精度をあげていくという働き方が変化していく必要があると話がされました。

 Chat GPTが登場し、クリエイティブとマーケティングのコモディティ化が進み、仕事の仕方が変わっていきます。しかし、Chat GPTは商品をつくれません。そのため、ツールをどう使うかで、勝ち筋を見つけていかなければなりません。

 各社のプロモーションや手法論の話はほぼなく、商品やサービス、ブランドとしてどうあるべきかが議論された非常に興味深い内容でした。

 ナラティブを「消費者一人ひとりの物語の中に入り込む」ということだとすれば、
 
  • 商品/サービス開発
  • 広告配信(ブランド体験)
  • クリエイティブ(AI活用、LP、バナーや広告文)
  • サイトに来たときの体験(不正アクセス除去、接客、サイトスピード)
  • 体験に基づく販売方法(販売チャネル、UIの一貫性)
  • 購入フロー(不正購入、後払い、EFO(Entry Form Optimization))
  • 購入後のサポート(CRM(Customer Relationship Management)、改善) など

 それぞれのタイミングで物語に入り込むチャンスや隙間があり、まだまだ収益を伸ばす余地があるということです。マーケティングの手法やツールの部分最適になるのではなく、全体感としてナラティブを実現できているのか。これが「DEEP DIVE INTO NARRATIVE」というテーマへのアプローチになっているのではないかなと思います。

 それでは、次回のレポートもお楽しみに。
  
セッション終了後の(左から)西井氏、猿渡氏、森氏、藤澤氏
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