「現場力とは、何か?」~ネプラス・ユー大阪2023 特別企画~ #02

顧客に直接向き合うことができるマーケティング現場での経験【ネプラス・ユー大阪2023 特別寄稿:八木一平】

 2023年7月12日から13日にかけて、マーケティング・カンファレンス「ネプラス・ユー大阪2023 (主催:ナノベーション)」が大阪(梅田サウスホール)で開催される。テーマは、「現場力~Go beyond your territory~」。AIはじめテクノロジーが発達し、変化の激しい現代では、実際に「現場」で一次情報に触れることが重要という考えのもと、多数の魅力的なセッションが行われる。今回は、本カンファレンスの開催を記念し、カウンシルメンバーに「現場力とは、何か?」をテーマに寄稿してもらった。第2回は、今年のネプラス・ユーから新たにカウンシルメンバーとなった阪急阪神ホールディングス DXプロジェクト推進部 八木一平氏になる。
 

顧客と直接向き合い、成功と失敗がすぐにわかる現場

 
八木 一平 氏
阪急阪神ホールディングス株式会社 DXプロジェクト推進部

大学在学中、自営業(フライヤー・DM等の印刷業、テクノ・ハウス系DJ向けの中古レコード店)、アスキー「日本のホームページ5000」等の制作などを経験。2004年リクルート入社。海外旅行サイトなどのシステム開発、マッシュアップ開発コンテストやラボの立ち上げ業務、リフォーム関連のメディアプロデュース等を担当。2011年大阪ガス入社。B2C・B2B部門にてWEB・CRM・デジタルサービスの企画運営などを担当。2023年4月より阪急阪神ホールディングスに入社し現職。

 私は「マーケティングの現場力」というフレーズを聞いたとき、リクルート在籍時に出向していた会社でのことを思い出しました。出向先はリフォーム業界のマッチングサービスを運営する会社で、社員数も15人くらいでした。売上もまだまだでしたが、自分の日々の業務が事業収支に直結しており、そこにはまさに「マーケティングの現場」でした。

 当時、私は20代でした。システム担当として出向していましたが、事業モデルに合わせたKPI体系の見直しとモニタリングの整備も行いました。その経験から、Web広告など集客面の投資対効果を適切に評価できるようになり、集客やCVR(コンバージョン率)の改善などWebマーケティング全般を担当するようになりました。

 私たちのチームは、新たなKPI体系に基づき、数人のメンバーでさまざまな改善に取り組みました。たとえば、リスティング広告の運用では、自分たちでキーワードを選定し、広告クリエイティブをつくり、入稿を行い、競合動向をチェックして単価を調整するなど、ひたすら管理画面に向き合う日々が続きました。

 リフォーム業界のマッチングサービスにとって、集客は生命線です。事業規模からすると多額の費用を投資しており、その大切な予算がリアルタイムに減っていき、施策の成功と失敗がすぐに分かるという状況でした。マーケティングの現場らしいヒリヒリする体験でした。

 また同社には、もともと電話やメールでお客さまサポートやユーザーインタビューなどを外部にまかせず自社で行う文化がありました。それが、リアリティのある顧客理解やUX(ユーザーエクスペリエンス)を重視する思想につながっていました。特に、サービスを実際に使ってくれたお客さまとの1on1インタビューはとても有益でした。

 さらに、組織が小さいメリットとして、社員全員がそれぞれの業務のつながりを把握しやすいため、自分の担当業務が他のメンバーの業務にどう影響するかを理解した上で行動できていました。これはマーケティング業務に限った話ではありませんが、日々の業務はもちろん、大きなトラブルが発生したときに、この相互理解が非常に役立ったことを覚えています。

 現在のマーケティングの現場を取り巻く環境は、私が経験したときとは大きく異なります。ただし、顧客のことをリアルに知ること、自分たちの業務に正しく向き合うこと、そして関係する業務に関心を持ち、連携し、相互作用を生み出すことの重要性は変わらないはずです。

「ネプラス・ユー大阪2023」では、「現場力」について考えるセッションやプログラムが多数あります。セッションから学ぶだけでなく、ネットワーキングやディスカッションを通じて、参加者全員でお互いにとってよい刺激を生み出すことができればいいなと思います。関西のマーケターのみなさん、ぜひご参加ください!
  
ネプラス・ユー大阪2023 公式サイトは、こちら

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