マーケティングアジェンダ2023レポート #02

F&LC水留社長が語る、シェアNo. 1という圧倒的な地位を確立することのできたスシローのアイデアとは?【マーケティングアジェンダ2023レポート第2弾】

 2023年5月24日から27日にかけて、日本最高峰の合宿型マーケティングカンファレンス「マーケティングアジェンダ2023 (主催:ナノベーション)」が沖縄県・読谷村(ロイヤルホテル沖縄残波岬)で開催され、国内外のトップマーケターが約400人参加し、盛況のうちに幕を閉じた。

 今回は、そのレポート記事をnoteでnoteプロデューサー/ブロガーとして、ビジネスパーソンのキャリア構築や、企業の広報やマーケティングのサポートを行っている徳力基彦氏がお届けする。今回は、その第2弾として3日目のキーノートを紹介する。

「スシロー躍進を支える戦略はどうつくられたのか?」というテーマで、スピーカーにスシローを展開するFOOD & LIFE COMPANIES 代表取締役社長CEO 水留浩一氏、モデレーターにファミリーマート エグゼクティブ・ディレクター チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)足立光氏が登壇し、足立氏が質問するスタイルでセッションが展開された。
 

一人も味方がいない状況での挑戦で成長したスシロー

   
キーノート#3に登壇した(左から)ファミリーマート エグゼクティブ・ディレクター チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)足立光氏、FOOD & LIFE COMPANIES 代表取締役社長CEO 水留浩一氏

 スシローといえば、回転寿司チェーンにおいて圧倒的No. 1として成長し続けていることで有名です。今回のセッションで足立氏が水留氏から引き出したポイントは、その背景に従来の回転寿司チェーンの常識を超えたいくつもの挑戦があったということです。

 もともとスシローは、100円とは思えないクオリティの寿司を提供することで話題になり、回転寿司チェーンのトップに一気に躍り出た企業です。

 飲食チェーンにおいて売上を伸ばし続けるためには、店舗を増やすことが必要です。水留氏が参画した2015年は、郊外店中心の業態では成長に限界があると、大きな方針転換を行います。

 そのポイントとなるのは、以下の3つです。

・都市型店舗への挑戦
・M&Aと新ブランドの確立
・海外展開


 これらの挑戦は、当時のスシローにとっては全く新しい挑戦でした。特に、都市型店舗の出店を決断し、それまでスシローだけでなく回転寿司チェーンにおいて絶対的な常識だった全店での「均一価格」を改定するという方針を打ち出しました。そのとき、水留社長に賛成してくれる味方は、社内に1人もいなかったと言います。
  

 ただ、水留社長の視点からすると、日本でも郊外の人が減り、都心に人が集中していくことは火を見るより明らかな事実でした。均一価格のまま都市型店舗を出店していたら利益が出ないのも明らかだったため、「とにかくやるという姿勢で都市型店舗に挑戦した」と言います。その結果、郊外型店舗よりも都市型店舗のほうが利益が出るという成果につなげました。

 その後、水留社長は京樽、回転寿司みさきをM&Aし、新業態として大衆寿司居酒屋の杉玉を打ち出すなど、出店に100坪が必要なスシローだけでなく、5坪~30坪という小規模で出店できる業態にラインアップを拡張しました。今では、都心に柔軟に出店できる体制を確立しています。

 そして、並行して海外にも積極的に挑戦しました。スシローにおけるコア人材を次々に海外子会社の社長に抜擢することで、海外の出店数を一気に増やしていったわけです。

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