マーケティングアジェンダ2023レポート #01

ファミマ CMO 足立光氏「アイデアは、発見よりも実行のほうがはるかに重要である」【マーケティングアジェンダ2023レポート第1弾】

 

大ヒットにつながるアイデアが眠っている可能性


 私は、本田技研工業の「オデッセイ」の開発に携わった人の話を聞いたことがあります。オデッセイは、当時の日本にミニバンブームを巻き起こし、経営面で苦境に陥っていた同社を救った車と呼ばれることもあります。ただ、実はオデッセイの開発プロジェクトが立ち上がったとき、社内でも国内でも「ミニバンは売れない」という意見が主流で、何度もプロジェクトは閉鎖されそうになったそうです。

 実は、開発初期段階では社内関係者から否定的に受け止められていた製品が、その後、驚くほどの大ヒットにつながるというケースが歴史上に多数存在します。あまり知られていませんがサントリーのハイボールや、SUBARUのアイサイトなどもそうです。

 そのような意味で、今回のセッションで改めて痛感させられたのが、冒頭で紹介した「アイデアは発見するよりも実行のほうが大事」という足立氏の発言です。
 

 画期的な新商品が生まれ、大ヒットにつながると、必ずといっていいほど「私もそのアイデアを考えていた」「過去に似たようなアイデアに私も挑戦していた」と言う人が出てきます。

 ただ、実はアイデアを思いつくこと自体は、大抵の場合、それほど難しいことではありません。そのアイデアを具現化し、実行し、成功につながる形で実現できるかどうかこそが、本当に大切なことと言えるでしょう。

 多くのマーケターが、何かしらのアイデアを提案したものの否定されたり、承認されずに断念してしまったりした経験があるはずです。ただ、実は業界関係者に否定されるような画期的なアイデアのほうが、他の企業が挑戦しない分、大ヒットにつながる可能性があるとも言えます。

 もし発見したアイデアを本当に信じているのであれば、1度否定された程度で諦めずに、礒部氏や富永氏と同じく信念を持ち続け、いかに成功につながるために実行に移すかどうかがポイントになると言えそうです。
  
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