B2Bアジェンダ2023レポート #02
ソフトバンク、旭化成のBtoBマーケターが語る、新しい組織構築と人材育成【B2Bアジェンダ2023レポート】
マーケティングを「実務」と「管理」に分けるMOpsという新しい発想
東海林 みなさん、ありがとうございます。外部環境の変化によって、マーケティングやマーケターの変化が求められていることがわかりました。次に、DX・デジタル時代におけるマーケティングオペレーションの重要性を廣崎さんからお話しいただきたいと思います。
日本電気 インテグレイテッドマーケティング統括部 シニアディレクター
東海林 直子 氏
NEC入社後、通信ネットワーク系の代理店販売業務を担当しユーザーコミュニティを立ち上げ、その後、法人向けインターネットサービス(BIGLOBEビジネス)で新サービス企画および 営業支援を担当。2004年からは市場リレーション推進部門にて メールマーケティングをベースとした 全社マーケティング活動を開始。現在は、IMC本部でオウンドメディア、外部メディア、 リアルイベント等の様々なタッチポイントと MA、SFA、インサイドセールスを連動させたマーケティング施策実行を統括。
東海林 直子 氏
NEC入社後、通信ネットワーク系の代理店販売業務を担当しユーザーコミュニティを立ち上げ、その後、法人向けインターネットサービス(BIGLOBEビジネス)で新サービス企画および 営業支援を担当。2004年からは市場リレーション推進部門にて メールマーケティングをベースとした 全社マーケティング活動を開始。現在は、IMC本部でオウンドメディア、外部メディア、 リアルイベント等の様々なタッチポイントと MA、SFA、インサイドセールスを連動させたマーケティング施策実行を統括。
廣崎 マーケティング責任者や経営者の多くは「マーケティングに力を入れているのになかなか成果が出ない」とおっしゃいます。実際にマーケティング活動を覗かせてもらうと、多くの場合戦術設計ができていないことが本質的な問題でした。戦略は時間をかけて練るものの、その後は戦術を考えずにメールやウェビナー、展示会など実行にすぐに移ってしまうケースが多いのです。
プロセスが整理されている会社では、戦略策定後、どう施策に落とせば一番効果が期待できるか、使用するツール、必要な人員配置、使うチャネルなど戦術設計に時間と意識を向けています。この戦術設計の部分を担っているのが「マーケティングオペレーション(以下、MOps)」であり、欧米では8割以上の会社に専任のMOpsがいると言われています。
デジタル施策が中心になった今、数多くのマーケティングツールの中から自社に最適なものを選び組み合わせる必要がありますが、これには専門知識が必要となります。1人のマーケターが施策の実行もテクノロジーやプロセスの管理も担当するのは大変ハードルが高くなっています。そこで、マーケティング施策の実行を担うフィールドマーケティングとマーケティングテクノロジーやそれに伴うプロセス管理を行うMOpsを分け、専門性を持ったマーケティング組織を構想する必要が出てきています。
MOpsの業務は多岐に渡りますが、管理するマーケティングマネジメントテーマは大きく分けて3つあります。1つ目は、レベニュープロセスマネジメントです。BtoBでは検討期間の長い商材を取り扱う場合が多いため、MQLやSQL、SALなどクオリフィケーションポイントを設けてプロセス管理することが重要です。この中でマーケテイングパフォーマンスを測る中間指標であるMQLまでのプロセスや、その後営業やインサイドセールスなどにハンドオフするプロセス管理を行います。
2つ目は、キャンペーンマネジメントです。フィールドマーケティングチームが効率的に施策を実行できるよう、過去のデータから創出すべきリード数やMQL数を導き出したり、効果的なチャネル、メッセージングなどをデータで分析できるような体制を整えます。
3つ目はマーケティング組織とプロセスの生産性向上です。マーケティング施策実行にかかった工数やコストとそのパフォーマンスを分析し、生産性のレポーティングやその改善を行います。
このほかにもMOpsが担う役割はありますが、これらの共通点はデータを通してマーケティング全体の最適化を行うところにあります。マーケティング施策の実行に必要なスキルとは異なるのです。
東海林 廣崎さん、ありがとうございます。相田さんと石川さん、実感や感想などいかがでしょうか。
相田 まさにいま自分が仕事をしている領域なので、自分ごと化として頷きながら聴いていました。ソフトバンクでは、今年度からMOpsのチームを部組織に格上げし、機能強化が進んでいます。一方、マーケティングツールを使えば使うほど、一つひとつのマーケティングプロセスは強化されるものの、マーケティング活動横通しでのオペレーションが難しく、悩ましい課題となっていますね。
石川 旭化成では素材、医薬、住宅などさまざまな商材が多岐に渡っているため、マーケティング活動に対する温度差があるのが実情です。たとえば、フィールドマーケティングとMOpsのチームを分けて、それぞれのプロセスを強化する取り組みを実践している事業がある一方で、営業担当者がWebマーケティング担当していて、専門的な活動ができていない事業もあります。全社のレベルをいかに底上げするかが課題だと思います。