B2Bアジェンダ2023レポート #02

ソフトバンク、旭化成のBtoBマーケターが語る、新しい組織構築と人材育成【B2Bアジェンダ2023レポート】

 

マーケティングのデジタルプロ人材創出が急務


東海林 これからのマーケターの人財開発・キャリアデザインについて、石川さんから共有をお願いします。

石川 旭化成では現在、「DX-Challenge 10-10-100」というスローガンを掲げています。2021年度比でデジタルプロ人材を10倍、デジタルデータ活用量を10倍、そして重点テーマへの貢献で累計100億円の利益を創出することを目指しています。





この中で鍵になるのが「デジタルプロ人材の育成」です。そこでOpen Badge制度を導入し、研究開発や製造、基盤、営業・マーケティング分野のコースを用意しています。コースごとにレベル1から5までの設定があり、レベル3までをデジタル活用人材、レベル4以上をデジタルプロ人材と位置づけています。2024年をデジタルノーマル期として、全従業員4万人がデジタルのマインドセットで働くことを目指しています

デジタルマーケティングコースのレベル3までを約6000人が受講完了し、レベル4は、受講者約300人のうち96人が修了しました。さらに上位のレベル5のコースに進んでいるのは現在21人です。デジタルマーケティングコースのレベル5は、オンラインのクラス形式となっており、01GROWTH 丸井さん、廣崎さんにマーケティング全般、特にMOpsに関してご指導いただいています。

インプット型のOpen Badgeプログラムに加え、MQL創出をゴールとしたアウトプット型のロールプレイング研修を内製で開講しています。また、最新の専門知識を備えるために実務家やアカデミアの方々を招聘し社内講演会を毎月開催しています。このように知識習得するインプット型教育、擬似体験するアウトプット型研修、実務の高度化を狙った講演会という3本柱によって、マーケティング人材の育成を図っています。



東海林 ありがとうございます。最後に、マーケターへメッセージをお願いします。

廣崎 MOpsはマーケティング組織全体の形を変える取り組みですが、その重要性は高まってきています。マーケティングリーダーの皆さんにはぜひ取り組んでいただきたい領域です。2023年に出版した書籍『マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識』をぜひ読んでいただけたら幸いです。

相田 顧客のカスタマージャーニーや購買行動は、大きく変わってきています。データドリブンマーケティングは本質的に重要になっていますし、企業の経営層は、今後ますますデータマーケティングへのアンテナが立ってくると思います。データがつながると、マーケティング活動の最上流から下流工程までの流れが鮮明に見えてきます。そのプロセスにおいて生成AIの活用が進んでいくのではないかと思います。

現状、その活用は各社まちまちだと思いますが、生成AIの情報にもアンテナを立てていただきたいと思います。みなさんでアイデアを共有しながら、データをマーケティング活動に活かしていく方法を、ぜひ一緒に考えられるとおもしろいのではないかと考えております。

石川 今後、ますますマーケティングに対する期待感が膨らみますし、マーケターに対するプレッシャーは大きくなるかもしれません。ぜひ私もネットワークを通して、さまざまな議論からマーケターの価値をさらに考えていきたいと思います。

最後にひとつ、社内でデジタル組織をつくるために私が非常に重要だと思うのが、経営層の理解です。トップの理解が得られなければ組織化はできませんし、何よりも人が採れません。その重要性をいかに口説けるかがマーケターにとって重要であり、今後のマーケティングの発展につながるのではないかと考えています。もちろん大変なことは多いと思いますが、ぜひマーケターの皆さんには頑張っていただきたいと思います。


(左から)ソフトバンク 相田伸彦氏、日本電気 東海林直子氏、ゼロワングロース 廣崎依久氏、旭化成 石川栄一氏
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