マーケティングアジェンダ東京2023レポート #01

万年シェア3位から1位へ。味の素「ザ★チャーハン」に学ぶ、アイデアが上手くいく4つのポイント【マーケティングアジェンダ東京レポート】

 

「常識」をことごとく覆し、四面楚歌に

  

 今でこそ大ヒット商品になった「ザ★チャーハン」ですが、当初、社内からは反対の声のほうがはるかに大きい状態だったそうです。なにしろ「ザ★チャーハン」は、次のように従来の冷凍食品事業の「常識」をことごとくひっくり返した商品になっていました。

■具材8種類で他社と差別化  → シンプルな3種類に変更
■パッケージは暖色が常識 → 黒ベースに変更
■パッケージは長方形が常識 → 正方形に変更
■冷凍チャーハンの量は450gが常識 → 600gに増量
■冷凍チャーハンの価格は278円が常識 → 容量増に合わせて値上げ

 そのため社内からは「黒は食品ではタブーの色で売れない」「正方形の600gのパッケージは冷凍食品の棚に入らない」「値段が上がったら小売が棚に並べてくれない」などの声が上がり、さまざまな視点から大反対にあったそうです。そんな四面楚歌の状態の岡本氏を救ったのは、ひとりの部下のプレゼンでした。

 その部下は、他社の「食べるラー油」や「マルちゃん正麺」など、業界の常識に挑戦してヒットを生み出した事例を並べ、「自分たちが横並びの商品をいつまでも売り続ける会社でいいのか、新しい挑戦をするべきではないか」と社内に強く語りかけます。そのプレゼンがほかのメンバーに共感された結果、最終的に経営陣も了承し、「ザ★チャーハン」の発売が決定したのです。

 プレゼンを聞いて熱くなった営業メンバーの努力もあり、広告を展開する前に多くの小売店での棚の確保にこぎ着けました。そして発売後には、X(旧Twitter)で「夜中にザ★チャーハンを食べる会」というバズが発生するなど、あわや「在庫が切れて休売になるのでは」というほどの大ヒットになったそうです。

 そんな岡本氏が「アイデアが上手くいく」ためのポイントとして、挙げられていたのが下記の4つのポイントです。
  

 「打数が大事」というキーワードで印象的なのは、実は岡本氏もすべての挑戦が成功しているわけではなく、失敗もされているという点です。たとえば「旬の果実のグラノラ」という商品では、成功体験に囚われて、それまでの商流と同じルートで売り出した結果、ほとんど商品が売れないという結果になったそうです。

 ただ、やはりバットを振らなければヒットが生まれないように、「本当に信じるアイデアがあるなら思いきりバットを振れ」というのが、岡本氏が常に部下に伝えているメッセージです。

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