あなたのクリエイティブ・ジャンプは何ですか?~ネプラス・ユー京都2024 特別企画~ #11

新ヤン坊マー坊に続き本格アニメ? BtoB企業のヤンマーがなぜクリエイティブに注力するのか【ネプラス・ユー京都2024特別企画】

 

天気予報を知らない世代へ


―― 「ヤン坊マー坊天気予報」のCMを知る世代からすると、若い世代が「ヤンマーを知らない」というのは意外ですね。

 1959年から放映されていたヤン坊マー坊天気予報は2014年に終了し、今の10-20代学生の約半数はヤンマーを知りません。採用活動にも影響が出てきています。いくら「グローバルで2万人の従業員がいる1兆円企業ですよ」とアピールしても、20代からすると「知らない企業」になってしまうんです。BtoB企業では「一般認知は重要ではない」と言われることがありますが、これは大きな勘違いで、たとえ詳しいことはよく知らなくても「いい会社」というイメージがあるかないかは、曖昧なように見えて実は非常に重要なのです。



 ヤン坊マー坊天気予報はヤンマーの顧客である農業や漁業関係の方たちのお役に立ちたいという思いがあって始まりましたが、今はスマホで天気予報を確認できます。一方、ヤン坊マー坊をグローバルで活用し、ブランド力に貢献しようという方向性で辿り着いたのが、今年1月末に発表したヤン坊マー坊の新デザインです。リニューアルに際しては若い方々にも認知してもらうため国内外で一般投票を実施し、総得票数76568票に達しました。これも「巻き込む」、すなわち「インクルーシブブランディング」の一環としての活動です。

 ヤンマーはトラクターなどの農業機械のほか、建設機械、エネルギーシステム、産業・船舶用のディーゼルエンジンなどの研究・開発・製造・販売を担っています。海外ではそうでもないのですが、日本では圧倒的に「農業」のイメージが強く、実際の事業活動とイメージとの間にギャップがあります。農業だけでなくあらゆる事業活動を通じてサステナブルな社会を作っていきたい、人が豊かでいられる未来を作っていきたいという思いから、ヤンマーは2016年に「A SUSTAINABLE FUTURE」をパーパスに掲げました。私もこういった理念に共感して入社を決めたのですが、現在は「サステナブル」という言葉だけでは埋没してしまいがちです。ヤン坊マー坊リニューアルのもうひとつの意味は、ヤン坊マー坊を「ともにサステナブルな未来を実現していく仲間」として位置づけることでもあり、私たちがパーパス実現に向けて本気で取り組んでいることを、あらためて伝える必要を感じていました。

――オウンドメディアである「Y media」には多彩なコンテンツがあふれています。

 Y mediaは「A SUSTAINABLE FUTURE」の制定と同じ2016年にスタートしました。BtoB企業のオウンドメディアとしては先駆け的だと思います。ヤンマーのパーパスをより深く理解し共感頂くことを目的に、ヤンマーのさまざまな活動をストーリーテリングの手法で紹介しています。近年ではヤンマーとしての活動やメッセージの紹介にとどまらず志を共にする仲間作りを意識し、農家の方と一緒にサステナブルな農業について考えるワークショップを行うなど、ここでもインクルーシブなメディアであることを目指しています。編集部もコミュニケーション部内にあります。



 Y media立ち上げ以降、コーポレートサイトのPVが伸びています。関心があるテーマを調べていたらY mediaに辿り着き、そこからヤンマーを知ったという話を就職面接で聞くことも多いです。YmediaはSEO対策も実施しており「サステナブル」や「カーボンニュートラル」といったテーマに興味のある方がキーワードを検索した時に、Y mediaをきっかけにヤンマーに辿り着く、ということも踏まえて設計することで、パーパスに共鳴する人材採用に貢献できる仕組みにもなっています。

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