ダイレクトアジェンダ2024 #08

I-ne、mederi、Pococha、成長中のブランドはどんな広告施策で成果を出しているのか【ダイレクトアジェンダ2024レポート】

 

各社の実例から見えてくる、インターネット施策の裏話


西井 では、こういった各社の特徴を頭に入れながら、どんなことをしているか、広く浅く話していきましょう。例年まとめている、Web広告など媒体施策についてのスライドを今年も作成しました。昔、ダイレクトアジェンダが始まったばかりの頃は、このシート1枚だけで完結したのですが、いまでは施策数が多く、シートの枚数もかなり増えたので、割愛して話します。

まずは検索周りです。昔は多かった純広告も、いまはもうほとんど取り組んでいないという話をよく聞きます。以前はYouTube広告を実施していない会社がとても多かったですが、この1、2年でかなり当たり前になっていますね。

ソーシャルにおいては、やはり広告の手段がとても増えてきています。少し前まではFacebookやInstagramだけだったのが、TwitterやLINE、TikTokを活用している会社も多くなってきています。ここについて一点、Pocochaの村口さんに伺いたいことがあります。I-neさんはFacebookやInstagram、LINEといったSNSの広告を多く出しており、我々Oisixも同じように活用していますが、Pocochaは真逆ですよね。この点、どのように捉えていらっしゃいますか。
  

村口 完全に獲得単価の観点です。GoogleやX(旧Twitter)、Facebook、Instagram TikTokなどとマスメディアを比較したときに、FacebookやInstagramの単価が高くなってしまいます。

西井 FacebookやInstagramではターゲットがズレてしまい、あまり新規ユーザーの獲得が見込めなということでしょうか。

村口 はい、そうなります。

西井 なるほど。伊藤さんはいかがですか。

伊藤 我々のような、いわゆる美容業界からすると、FacebookやInstagram、LINEなどが新規獲得に結びつかないというのは考えられないですね。

西井 考えられないですよね。私も実際に取り組んでいるのはその辺りが中心なので…。mederiも、ユーザー層は比較的若いですよね。

坂梨 そうですね。一時期、医療系のDtoCは規制のため広告が出せなかったので、X広告とLINE広告は遅れて配信し始めました。その中で、Instagram広告のクリエイティブをX広告やLINE広告に援用するのは全然ダメでしたね。X広告とLINE広告のクリエイティブは他媒体と比べると特殊だと思っています。

西井 なるほど。Pocochaは、アプリのインストールですよね。単価として、FacebookやInstagramのCPC(クリック単価)が高いように思ったのですが、実際けっこう対照的でおもしろいなと思いました。

もうひとつ、Webの手法の話です。手法もどんどん増えてきて、今回はせっかくPocochaもいるので、動画、記事広告、商品リスト広告も入れてみました。アフィリエイト、ライブコマースについて、伊藤さん、軽く教えていただけますか。

伊藤 はい。我々は海外展開しており、中国でライブコマースを行っています。

西井 国内ではないんですね。

伊藤 はい。特に中国に関しては広告の9割がライブコマースです。

西井 Pocochaは自社で商品を売っているわけじゃないのでライブコマースではありませんが、実際、ライバーさんがここで何かつくり出すことはできるんですか。

村口 はい、そうですね。ライバーさんとリスナーさんのコミュニティの中でコマースをするサービスのプラットフォームを提供させていただいています。

西井 ありがとうございます。それから、インフルエンサーや、SNSにおけるUGCの活用もあります。
  

一時期は、DtoCの、特にスタートアップの企業でブロガーやインフルエンサーでの獲得が非常に多かった印象ですが、現在はかなり規制が入って弱まっているという印象です。その反面、ダイレクトマーケティングをしている会社では、自社SNSをあまり活用していないという企業も多いのではないかと思いますが、せっかくなので、横の手法の話を軽くお話いただきたと思います。mederiでは、たとえば、アンバサダーや友だち紹介キャンペーンでどのような施策を行っているか、軽く教えていただけますか。

坂梨 ピルを飲んでいるというPRはみんなわざわざしないので、私たちの事業においてUGC(ユーザー生成コンテンツ)は少しわかりづらいんです。そこをPRしたくなるように設計したのが、mederiのポイントです。友だちを紹介していただくとお互い1000ポイントずつ付与されて、それがピル代に使えるというキャンペーンになります。結果的に、SNSでの拡散が増加しましたね。

西井 確かに、なかなかオーガニックではUGCが発生しないけど、そういった友だち紹介で効果が見込めるんですね。ちなみに、アンバサダーもやっぱり、誰かが使っていることで自分も安心して使えるということなのでしょうか。

坂梨 そうですね、誰が使っているかは大事なポイントです。医療用医薬品ですし、人それぞれ医薬品に対するポリシーもあるので…。信頼できる人がアンバサダーになってくれている甲斐もあって、最近は初めて使う人から、「あの人が飲んでいるピルがいいです!」という声も聞くようになりました。

西井 なるほど。伊藤さん、ここに関して、I-neさんの取り組みはいかがでしょうか。
  

伊藤 新興DtoCでは、売上が伸びてくるとSNSの運用を外注する場合がありますが、当社では、自社SNSを投稿するメンバーだけでも約10人いるんですよ。

西井 10人もいるんですか!

伊藤 10人いるんです(笑)。そして、SNSは広告をする場や商品を売る場ではなく、ブランドのメッセージを伝える場である、ということを昔から大事にしています。

西井 以前お話を伺ったときに、InstagramとXとTikTok、それぞれにおけるUGCのコミュニケーションの質が違う気がして、すごく特徴的だと思いました。

伊藤 そうですね、全然違いますね。

西井 その中でも、実はそれぞれに対してしっかりと考えながら運用しているという話を聞いたのを覚えています。村口さんのPocochaはライバー配信ですが、いかがですか。

村口 基本的には、我々のプラットフォームにいてくださるファンのみなさんにどうすれば拡散していただけるか、というテーマでSNSをつくっています。一番大事にしたいと思うのは、オーガニックで何もしていなくても火種になりそうなものに、さらに投資を増やしていくことです。

西井 なるほど。おそらくビジネス的には、ライバーさんが起点となって新規のPocochaユーザーを獲得することが多いですよね。

村口 そうですね。

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