マーケティングアジェンダ2024レポート #01

ファミマ 足立光氏と日経BP 品田氏に学ぶ「話題化は炎上と紙一重だからこそ、一歩踏み込む勇気が大事」という視点【マーケティングアジェンダ2024レポート】

 国内外のブランド企業などのトップマーケターが集結する日本最高峰のマーケティングカンファレンス「マーケティングアジェンダ2024(主催:ナノベーション)」が2024年6月19日から22日にかけて、沖縄県・読谷村(グランドメルキュール沖縄残波岬リゾート)で開催された。

 そのキーノートセッションをnote プロデューサー/ブロガーとしてビジネスパーソンのキャリア構築や、企業の広報やマーケティングのサポートを行っている徳力基彦氏がレポート。その第1弾として、日本を代表するマーケターであるファミリーマート エグゼクティブ・ディレクター CMO(兼)マーケティング本部長 CCRO(兼)デジタル本部長の足立光氏と、「日経エンタテインメント!」を創刊し、その編集長などを歴任してきた、日経BP 総合研究所 客員研究員の品田英雄氏が登壇した2つのセッションをレポートする。
 

ファミマ足立氏が考える「話題化」のコツ


 今年で8年目を迎えるマーケティングアジェンダは「話題化のレシピ」というテーマでした。非常に興味深い話が聞けましたので、その一部を紹介したいと思います。

 まず、初日のオープニングキーノートではファミリーマート エグゼクティブ・ディレクター CMO(兼)マーケティング本部長 CCRO(兼)デジタル本部長の足立光氏による「話題化のレシピ」の極意が披露されました。
  
ファミリーマートの足立光氏(右)、モデレーターを務めたPreferred Networksの富永朋信氏(左)

 キーノートの冒頭でPreferred Networks / SVP 最高マーケティング責任者の富永朋信氏から、なぜ「話題化」なのかという質問に対して、足立氏は「あくまで売るための手段のひとつである」と念を押しつつ、話題になることで企業ではなく、第三者が発信してくれることによる説得力の強さや、広告よりも投資対効果が高くなるという点に言及しました。

 現在の話題化の基本はPRとSNSです。広告はそれをブーストする存在と考え、インフルエンサーにお金を払うのではなく、一般のお客さまにいかに話題にしてもらうかが「話題化」のポイントであると話していました。

 その後、足立氏がマクドナルドやファミリーマートで手掛けられた具体的な事例を元に「話題化のコツ」として、「突っ込まれビリティ」や「消費者参加型」など5つのポイントを提示します。
  

 特に足立氏ならではの象徴的な事例といえるのが、「見せ方」の変更として紹介していた「ファミマのボトルキープ」でしょう。ファミマペイアプリでペットボトル24本分のチケットをまとめて買うと、5本分がお得になるという企画ですが、これは普通に表現すれば「回数券」です。
  

 ただ、それを「ボトルキープ」という言い方に変え、新しい取り組みだと「見せ方」を変えることで話題になり、成功を収めることができたわけです。

 足立氏はマクドナルド時代にも、いわゆるトッピングを「裏メニュー」と見せ方を変えることで話題化に成功しています。同じ商品やサービスでも「見せ方」を変えるだけで話題化できる可能性があるというのは、多くの人の参考になる事例だといえます。
  

 なお、私にとって足立氏のセッションで最も印象的だったのは「話題化は炎上と紙一重」だという発言です。実際に「ボトルキープ」施策においても、社内からはボトルキープはお酒を連想させるから、良くないという反対の声もあったそうです。

 実際に翌日のキーノートにおいて、紹介された事例も「話題化は炎上と紙一重」を象徴する事例でした。2日目のセッションも見ていきましょう。

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録