Rising Academy powered by ノバセル ~若手マーケターの登竜門~ #02

現役トップマーケターが若手マーケターに直接伝授、ノバセル田部正樹氏が語る無料マーケター育成「ライジングアカデミー」の意義

 次世代を担う若手マーケター育成を目的としたAgenda noteのアクセラレータープログラム「Rising Academy powered by ノバセル(以下、ライジングアカデミー)」が2024年11月から2025年9月まで開催される。

 マーケティングプラットフォームを運営するノバセルの全面協賛により、参加者は事前審査の上、無料で受講できる。またライジングアカデミーでは、講師から実際の業務内容の課題に対してフィードバックをもらえることが特徴のひとつである。今回は、同社代表取締役社長を務める田部正樹氏に本企画の協賛に至った背景や、ビジョンとして掲げる「マーケティングの民主化」との関わりについて聞いた。
 

仕事で実践できる学びの場を設けたい


―― 田部さんは2014年にラクスルに参画後、マーケティング責任者として同社の成長(6年で売り上げ30倍)を牽引されてきました。今回、ノバセルとしてライジングアカデミーへの全面協賛を決めた背景や理由について教えてください。

 私はネット印刷を手がけるラクスルのCMOと、グループ会社でマーケティングプラットフォームを運営するノバセルのCEOを務めています。事業会社としても、エージェンシーとしてもマーケティングに携わっているので、さまざまな業界や企業のマーケターと触れ合う機会が他の人よりも多いのです。

 事業会社のマーケターの視点、エージェンシーの視点の両方を持っていることから、いろんな人からキャリア相談を受けたり、アドバイスを求められたりするようになりました。クライアント企業に対して個人的に1~2時間くらいのマーケティング戦略セミナーを開いたり、月に数件、無料で「壁打ち」を受けたりしてきました。

 そんな中、世の中に現存するマーケティング関連のセミナーや講義は「座学」が中心で、実践ですぐに生かせるような場は少ないのでは? という課題を感じるようになりました。たとえば、ファミリーマートの足立光さん(ノバセル社外取締役)のような数々の実績を残しているトップマーケターの話を聞いても、大半の人はそれをすぐに真似することは、できないと思うのです。著名人の話を聞く機会はたくさんあるけれど、学んだ知識を実践で生かせるような場は、意外と無いことに気づきました。
 
ノバセル株式会社 代表取締役社長 / ラクスル株式会社 CMO
田部 正樹 氏

 1980年生まれ。中央大学卒業後、丸井グループに入社。主に広報・宣伝活動などに従事。2007年テイクアンドギヴ・ニーズ入社。営業企画、事業戦略、マーケティングを担当し、事業戦略室長、マーケティング部長などを歴任。2014年8月にラクスルに入社。マーケティング部長を経て、2016年10月から現職に就任。ラクスルの成長を7億→210億(6年で30倍)を牽引したマーケティングノウハウを詰め込んだ新規事業「ノバセル」を立ち上げ、「マーケティングの民主化」をビジョンに5年で80億を超える成長を続けている。業界問わず成長を求める企業の経営×マーケティングのアドバイザー。経済産業省主催「始動」講師/メンター。

 加えてマーケティングの課題や悩みは、その業界や企業、個人が置かれているフェーズごとに大きく違います。認知度10%の会社と90%の会社とでは、抱えている課題は当然ながら大きく違うのです。でも世の中で開かれているセミナーやカンファレンスでは先進的な企業や、認知度が高いブランド・サービスに関する事例の紹介ばかりです。

 私の場合は、先ほども触れたように支援会社としての側面も持っているので、いろんなフェーズのクライアントさんと取引があります。そのため、各フェーズに合った解決策への知見がありますし、私が行う壁打ちは「あなたの仕事そのものに対するアドバイス」というスタンスです。

 それぞれが今抱えている課題や悩みを、先に経験した立場としてダイレクトにアドバイスする。そのような背景から、単に座学で教わるだけでなく、講師から実際の業務内容の課題に対してフィードバックももらえるので、「実務で明日から使える」という場には非常に価値があると思い、今回の協賛に至りました。

―― 実践的なマーケティングを学べる場がほとんど無い、という課題感が協賛の背景になっているのですね。それは田部さんが提唱される「マーケティングの民主化」とも関係するのでしょか。

「マーケティングの民主化」というビジョンを、ノバセルとしても私個人としても掲げています。というのも、「マーケティング」という言葉は調べれば調べるほど難しく、優れたノウハウがあっても一部の企業や人にしか共有されていないことがあります。私が事業会社で培ったマーケティングノウハウを、支援会社のサービスとして伝えている背景には、そういったマーケティング業界の「情報の非対称性」があるのです。

 事業会社の若手マーケターであれば、なおさら情報を得る機会が少なく、横のつながりも弱い。カンファレンスやセミナーに参加するにしても、1社につき数人程度でしょう。私の場合は自ら発信することによって、これまでもいろんな人からアドバイスをいただいたり、知り合いを増やしたりして情報が集まるようにしてきました。しかし、とりわけ事業会社に所属するマーケターの場合、そもそも個人として情報発信することを会社から求められていなかったりします。アドバイスを社外の誰かに聞こうとしても、なかなか難しいのです。

 マーケティングを民主化するという言葉には、そういった非対称性を打開して、誰もが自分で判断し、実践で使えるマーケティングのノウハウを広めていく、という意味を込めています。そうした土台をつくるために今回は、自社サービスを広める場ではなく、若手マーケターに実践知を身につけてもらう場として、無料のマーケティングアカデミー開講に全面的に協賛させていただくことにしました。
【ライジングアカデミー】 公式サイトはこちら  

実践戦闘力を上げていく必要がある


―― 時代の変化に伴い、マーケティングに求められる役割はますます複雑化してきています。若手マーケターが抱える課題について教えてください。

 生産年齢人口が減っていく中で、かつては50人いた宣伝部も「今はマーケティング部に10人しかいません」というような会社は、大手企業であっても多いです。その分、DX化やAI活用によって生産効率を上げる取り組みをしているわけですが、基本的には人は減っているのに、やらなきゃいけないことや、新たに覚えなければいけないことは増えているのが実情です。

 その結果、マーケティングという存在がどんどん難解になっています。目の前の業務や知識の習得に時間が取られてしまい、本来向き合うべき顧客の価値創造や、事業の発展に使える時間が減っている。マーケティング施策の成功確率を上げたり、管理したりすることばかりに目が行き、本質的な業務に時間を割けなくなっているというマーケターは多いのではないでしょうか。

 また、マーケティングが分からなくても、これまではお金を払って広告会社などに外注してやってもらうという場面も多かったと思いますが、昨今はそういう時代でもなくなってきています。会社経営という視点から考えると、Webマーケティングのインハウス化の潮流も含めて、マーケティングコストを効率化したり、費用対効果を上げたりしていかなければならない。それに個人のキャリアで考えたときも、外部に丸投げするのではなく、自分でできるようになっておかないと、10年後、20年後に価値がない人材になってしまいます。

 そうならないためにも、若手を中心に、現場の人たちがマーケティングの「実践戦闘力」を上げていく必要があります。ライジングアカデミーは、ただ知って終わるのではなく、講師から直接フィードバックがもらえる環境なので、そこで学んだことを実践し自分自身の成果につなげることができる場になってほしいです。

―― ライジングアカデミーでの学びを実践する上で、ポイントになるのはどんなことでしょうか。

 とにかく学んだことを必ず、自分の仕事に置き換えてやってみることです。私の場合はベンチャー企業での経験が多く、学んだことをすぐ実践できる環境にあったのですが、事業会社のマーケターにとっては結構難しいかもしれません。上司からの指示もありますし、会社によってもスタイルが違うので、学びをすぐ業務に生かそうとしても、なかなか思い通りに進められない場合もあります。

 だからこそ、ライジングアカデミーという場をうまく使ってほしいのです。ライジングアカデミーは「明日から使える」を標榜していますが、これはただの宣伝文句ではありません。講義を座学で終わらせず、ワークショップを含めるのはもちろんのこと、企業が実際に抱える課題を出題し、現実的かつ効果的なマーケティング施策をチームで考える卒業プログラムを設けることで、すべての講義が実践で生かすことを前提として進められます。

 そして学んだことを「分かった風」で終わらせず、結果に結びつけるには、繰り返しになりますが「自分ごと化」して実践することが重要です。「ライジングアカデミーで学んだ」と言えば、会社でも実行しやすくなるでしょう。実行してみて、結果をまたライジングアカデミーに持ち帰って、フィードバックをもらう。その循環を生み出して、現に自分が抱える課題の解決や成長を実現していただきたいです。

―― 最後に、参加する若手マーケターに向けてメッセージをお願いします。

 ライジングアカデミーの講師陣は、現役を退いた人ではなく、マーケティングの第一線で現に活躍している人たちです。日々事業と真剣に向き合っている人の、生の知識や実践の経験を、どんどん吸収してほしいです。その上で、先ほどから触れているように得た知識をとにかく、自分の業務で実践して試してみてください。

 まずは「守・破・離」の「守」で作法やフレームを学んで、そのまま自社や自分に置き換えて実践してみる。それができたら、次はその型を破って自分の手法に変えていく。現役トップマーケターのマーケティング理論を学んだら、自分なりに解釈して業務に落とし込んで実践して、最終的に自分なりの勝ちパターンを生み出していってください。
【ライジングアカデミー】 公式サイトはこちら  

ライジングアカデミー 開催概要

 
名称
Rising Academy powered by ノバセル
日時
2024年11月~2025年9月(第1期)
毎月1-2回程度(予定)
会場
ラウンジ(株式会社ナノベーション内)
東京都渋谷区広尾5-17-10 EastWest 5F(会場参加:毎回先着40名)
Zoom(オンライン):
開催日が近くなりましたら事務局より視聴URLをお知らせいたします。
参加者
若手マーケター100名(推薦人を必須とした上で審査制)
参加費
無料
主催
Agenda note
特別協賛
ノバセル株式会社

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