ライジングキャンプ2024レポート #01

感動を生み出し続けるトリドールが掲げる「二律両立」 南雲克明CMOの思考法【ライジングキャンプ2024レポート】

 

トリドールが掲げる「感動体験の追求」の実態


廣澤 グローバルでの目標を達成するための重点テーマを11個掲げています。今回はその中でも「感動体験の追求」について深掘りしていきたいと思います。
  
トリドールホールディングスの中長期経営計画の中で、掲げている4つの重点テーマと11の取り組み(※参考ページ

南雲 当社が重視する感動体験の追求には、2つの側面があります。まず「自ら仕掛けにいく感動」です。これは、「こんな空間が良いよね」「こんな商品が素晴らしいよね」「こういうエンターテインメントが魅力的だよね」という業態力や商品力を活かしたものです。

もうひとつは、「人と人とのつながりから生まれる感動」です。たとえば、店舗スタッフからの心地よいおせっかいや親切な対応によって生まれる、エモーショナルな感動体験です。

廣澤 店舗ビジネスをされているからこその感動体験ですね。
 
花王
DX戦略部門 インタラクティブプラットフォーム統括センター オウンドメディアインプリメント部
廣澤 祐 氏

  2015年に新卒として花王株式会社へ入社し、広告宣伝部(現メディア企画部)にてデジタルマーケティングを3年経験したのち、化粧品ブランドのマーケティングに3年従事。
2021年1月より新設されたDX部門にて社内のデジタル化を推進、2023年より現職。

【 その他の経歴 】
2020年よりデジタルマーケティング研究機構 U35 Project プロジェクトリーダーを務める。2021年に一橋大学大学院 経営管理研究科(MBA)を修了したのち、現在は同大学院の博士後期課程に在籍しイノベーション・マネジメント /MOTの研究に従事。その他、メディア連載やイベント協力などを務める。

南雲 もう少し具体的に言うと、当社では香川県の讃岐にある製麺所の風情をお客さまに体験してもらったり、職人がつくる手づくりやできたてでしか味わえない美味しさをお届けしたりすることにも力を注いでいます。こうした体験を約3万人のスタッフが力を合わせて実現することが我々の生命線となっているのです。

廣澤 スターバックスに例えると、ブラックエプロン(コーヒーに対する深い知識を持ったスタッフだけが着られるエプロン)のようなイメージですね。

南雲 そうですね。さらに丸亀製麺では、感動体験を提供するために、人間の五感を揺さぶるライブ感を大切にしています。「外食って楽しいんだ」という感動も含めて、お客様にワクワクしてもらい、期待を超えていかないといけません。

最近の事例として発売から3週間で300万食のヒットとなった「丸亀うどーなつ」や、2023年にデビューしたテイクアウト専用の「丸亀シェイクうどん」が挙げられます。どちらもお客さまの想像を超えるアイデアと、手づくりならではのおいしさを両立させたことで生まれたヒット商品です。
   新カテゴリーの商品として、うどん生まれの「丸亀うどーなつ」を2024年6月25日(火)から全国の丸亀製麺にて販売開始し、8月12日(月)までの約50日間で累計販売数が500万食を突破した。

2022年に誕生した「焼きたて肉うどん」も、ずんどうで煮詰めた肉を使うのではなく、オーダーが入ってから肉をフライパンでお客様の目の前で焼いてから、うどんの上にのせるという非効率なスタイルを採用しています。こちらの作り方のほうが美味しいんですよ。

廣澤 非効率ではあるけれど、感動を生み出しているからヒットしているわけですね。

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