ダイレクトアジェンダ特別企画 #01

「ダイレクトとブランドマーケティングの垣根がなくなっていく?」コメ兵 藤原義昭、ビームス 矢嶋正明、電通デジタル 杉浦友彦【座談会】

運用型広告の、インハウス化は進む?

杉浦 エージェンシーという立場からは言いづらいのですが、もうひとつのトレンドとしては、運用型広告のインハウス化が挙げられます。その背景は、GoogleやFacebookなどのオートメーション機能の進化です。そうなると、企業様がもつオウンドメディアや来店等をふくむCRM系のデータ、いわゆるファーストパーティデータをいかに広告運用やマーケティングオートメーションと連携させていくかが重要になると考えています。その自動化までを含めたデータ設計と実装ノウハウにエージェンシーの介在価値があると考えているところです。 

矢嶋 我々もインハウス化を目指したいのですが、そこまでは技術的にも組織的にも整っていないです。データをフル活用したいという意見もありますが、一方でファッション業界の特性として直感的であることも大切です。上層部からは、適切にデータを活用していく必要があると言われています。   

杉浦 そうですよね。インハウス化は人材を育成し続ける必要があるため、上層部の理解もそうですし、企業文化との親和性なども考慮しなければいけません。新しい情報をキャッチアップし続けることが難しく、インハウス化に挫折して外注に戻るパターンも出てきています。   


 

ダイレクトアジェンダへの参加者へのメッセージ

矢嶋 大事なのは、我々が自分たちのお客さまとより良い関係をつくっていくことです。そして、そのゴールを具体的にイメージするのは、外ではなく中の人です。外部のパートナーから情報や知識を得ながらも、自分たちがどうありたいかを議論することこそが大事で、あるべき心構えだと思っています。

藤原 私が伝えたいのは、スタッフ全員で同じ意識を共有することの大切さです。お客さまは同じひとりの人なのだから、CMOだけが全体を見て、担当者ごとに施策を行うのではなく、目的や施策の結果をお互いに共有し合う組織をつくるべきではないでしょうか。ダイレクトアジェンダに参加されるのは、社内の組織を変えられるポジションや知見を持っている方々です。教育や採用も含めて、どういった組織にして戦略を立てるべきか一緒に考えたいですね。

杉浦 あえて、違う切り口から話をさせていただくと、向こう数年は、ダイレクトマーケティング業界全体で、大きく潮目が変わる時期だと思っています。GoogleやSalesforceのマーケティングプラットフォームの刷新に代表されるように、あらゆる顧客接点のデータをIDレベルで統合した、真に“人ベース”のマーケティングが、低いハードルで実現できるようになりました。そうしたデータをいかに統合・可視化して、日々の意思決定にどう活用していくかが、事業成長のレバレッジを利かせられるポイントになると考えています。そういった次世代のマーケティングの土台づくりを、皆さまと一緒に取り組んでいきたいです。


 
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