B2Bアジェンダ2024レポート #04

ブランド価値をビジネス成長に結びつける、B2Bマーケターに求められる役割とは?【B2Bアジェンダ2024レポート】

 

ブランドが吸引力を持つことによってビジネスを成長させる


風口 続いて、各社がブランドをどのように扱っているか聞かせください。三田村さんからお願いします。

三田村 ブランドを考えるときには社員も重要視しています。社員を仲間に引き込むことは、すごく大事だと思っています。
 
ヤンマーホールディングス ブランド部コミュニケーション部 部長
三田村 有香 氏

  P&Gマーケティング本部にてSK-IIグローバルブランドマネージャーや生理用品ウィスパー(日韓)ブランドマネージャー等を担当。その後不登校生支援に注力する通信制高校での広報・マーケティング、江崎グリコ(株)広告部、コーポレートコミュニケーション部を経て現職。国家資格キャリアコンサルタント

ヤン坊マー坊もそのひとつで、社員に対してヤンマーのブランドはこういうものなんだということを理解してもらい、目指す方向性や社会にどうやって貢献していきたいかなども含めて知ってもらい改めて好きになってもらう。

それが結果的に社員のエンゲージメントやモチベーション向上に繋がっていき、ビジネスに繋がっていく。そんな好循環が生まれると考えています。

風口 ブランドは、社員のエンゲージメントそのものということですね。宮田さんはいかがですか。

宮田 ブランドとは、「私はこういうものです」と企業が伝えることだと思います。

我々は現在、オープンイノベーションに取り組んでおり、DXでも今までお付き合いがなかったような人々に来ていただき、共に価値をつくり上げています。企業成長のためには人や他社など、さまざまな存在を惹きつけていかないといけないと思います。
 
中外製薬 広報IR部長
宮田 香絵 氏

 1999年、中外製薬株式会社入社。広報IR部にてインベスターリレーションズ、メディアリレーションズ、社内広報およびコーポレートブランディングを担当。同社購買部長を経て、2023年7月より同社広報IR部長(現任)。ブランディングでは2015年より中外製薬の企業広告、WEBサイト等の展開を担当。

当然、社員も誇りを持って、もっと自分たちが高い価値を提供しよう、もっといい仕事をしようなど、仲間を呼び寄せるような役割があると思います。

風口
 仲間を呼び寄せたり、お客さまを呼び寄せたり。吸引力をブランドが持つことによってビジネスを成長させているということですね。阿部さんはいかがですか。

阿部 BtoBは企業ファースト、BtoCは製品ファーストです。

無形資産がどれだけ評価されているかがわかる「PBR(Price Book-value Ratio:株価純資産倍率)」という指標があり、1を切っている企業はほぼ評価されません。日本でトップのトヨタ自動車さんでさえ1を切りました。苦戦している日本企業が多く、全体の40%が1を切っている状況です。これは問題だと思います。

無形資本には「人的資本」「知的資本」「ブランド」の3本柱があって、その中でもブランドは企業価値を測るエンジンです。

国際標準化機構(ISO)が定めている世界標準規格の「ISO10668」は、ブランド価値を可視化できます。横河電気は2016年、2021年、2023年の3回実施し、8年前と比べてその価値は約2.5倍に上がりました。この結果を社長に見せるんです。

ブランド価値はもともと見えないので、なかなか評価されませんが、これからはマーケティングテクノロジーのおかげでかなりの部分が可視化されるようになるので、ブランドの役割ももっと明確になります。

風口 ブランド価値が約2.5倍上がったのは素晴らしいですね。

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録