リテールアジェンダ2024レポート #01

ネットスーパーの売上比率が50%を超える日も。三重県の隠れた優良企業 スーパーサンシが取り組む4つの必勝法【リテールアジェンダ2024レポート】

 

ネットスーパーで確実に押さえるべき4つの必勝法


村尾 既に浸透しているeコマースが、2040年には現在の3-4倍まで成長する市場であると予測されていることは驚きました。スーパーサンシさんでは、ネットスーパーでどのような戦略で成功しているのでしょうか。

高倉 スーパーサンシでは、ネット宅配の売上比率が高い日には全体の50%に達しています。部門別では、野菜やカットフルーツ、鶏肉、日配品といったカテゴリーでは、常にリアル店舗の売上を上回る構成比となっています。つまり、ゲームチェンジはすでに始まっているのです。

特に店舗出荷型ネットスーパー(実店舗で注文商品をスタッフがピックアップして顧客に配送する形態)は、センター型ネットスーパー(ネットスーパー専用の物流拠点を設置する形態)と比べて非常に高効率です。

たとえば、1日の売上が1000万円の場合、店舗とネットが各500万円を占めるとします。店舗は12時間の営業時間中に常時人員配置が必要ですが、ネットは5時間営業でパートタイム従業員だけで運営可能です。店舗にはすでに商品が並んでいて在庫があり、ピッキングしやすく陳列されているので店舗の資産を有効活用できます。設備投資もほとんど不要なため、人時効率が非常に高いのが特徴です。店舗出荷型ネットスーパーは今後も主流となり、さらなる成長が見込まれます。

村尾 スーパーサンシさんのようにすでに店舗を持っている店舗出荷型ネットスーパーが、これから主流になるんですね。

高倉 そう考えています。その上でネットスーパーの成功には、オセロの四隅のように確実に押さえるべき重要な要素があります。
  

ひとつ目は、月会費制のサブスクリプションモデルの導入です。生協が宅配事業で2兆3000億円を売り上げる強さからも、サブスクは必要不可欠です。生協という「見えない壁」を突破するには、サブスクで顧客を囲い込む必要があります。ただし、会員から月額料金を徴収するのは簡単ではないので、ここはノウハウが必要です。

2つ目は、自社配送の確立です。ネットスーパーの利益率は低いため、配送を外部委託すると採算が合いません。宅配の要となる配送を自社で管理することが収益性の鍵となります。

3つ目は、宅配ロッカーの設置です。通常の手渡し配送は1件あたり約6分かかりますが、ロッカーを利用すれば1分に短縮できます。この時間差は配送効率に大きく影響し、1時間あたりの配達件数を大幅に増やすことができます。

4つ目は、アプリの継続的な進化です。ネットスーパーの売場であるアプリは、実店舗同様に顧客の購買意欲を刺激する仕掛けが重要です。部門別の商品表示の工夫や、スーパーマーケットならではの売場づくりの知見を活かした機能開発が求められます。

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