「Community Summit ~顧客起点で拓く、持続的成長への道~」レポート
ドン・キホーテ好調の裏側、会員1600万人の声を活かす「マジボイス」共創コミュニティへの挑戦
PPIHが実現する「顧客最優先主義」
高橋 次に、2つ目のマジボイスの機能について教えてください。

宮本 マジボイスは「企業主語のプロモーションの場」ではなく、「お客さま主語のドキュメンタリーの場」として捉えています。
我々はお客さまの声を聞いて、どう改善しているのかを包み隠さず見せて、お客さまに伝えています。それを実現するために、「正直レビュー」と「おしえて掲示板」という2つの機能があります。
正直レビューは「いいよ!」と「ビミョー」の2択の評価とフリーコメントができる機能です。一般的には星5の評価などがありますが、社内でいろいろと議論を交わす中で、2択で直感的にわかりやすいUI(ユーザーインターフェース)にした方がいいと判断しました。
「ビミョー」という表現は、「たしかに良くはないけど、そこまで悪くない」という商品もあるため、お客さまのインサイトを汲み取って、このようなネーミングにしています。また、フリーコメントには文字制限が一切ありません。文字数制限を設けるということは、企業が欲しいコメントがあるからですが、そういったことは一切やらずにお客さまが簡易的にコメントできるようにしています。
ポジティブなコメントはもちろん出しますが、多くの企業ではネガティブなコメントを隠したいと考えます。しかし、我々は公序良俗に反するコメント以外はすべて出します。その出し方もAIで自動審査を入れているので、コメントを公開してから数分後には公開されます。どちらのコメントも公開し、商品評価を「いいよ!率」または「ビミョー率」で直截的に表現をしています。
投稿では商品の改善がわかり、そのときの商品の良し悪しが時系列で分かるようにしています。また、投稿時のコメントも色分けし、「いいよ!」は水色、「ビミョー」は灰色といった形で、直感的にわかる表示にしています。お客さまが納得のいく買い物ができるようUIにも工夫を凝らしています。
高橋 ネガティブなコメントも公開するという結論にいたるまでは、社内でどういった議論があったのでしょうか。
宮本 そこは「顧客最優先主義」を軸に議論しました。ネガティブなコメントも 商品や店舗をより良くするヒントが隠されていると考えています。そのため、ネガティブなコメントも公開し、それにしっかりと対応する姿勢を伝えることが大切だと議論しました。
また、お客さまの評価をもとに毎月人気商品とイマイチ商品をランキング化しています。イマイチには、「People Brand」の商品ばかり並ぶこともありますが、それでも公開する姿勢が大切だと思います。そして、商品評価は可視化するだけではなく商品改善や価格の見直しにいたるまで、より良い買い物体験の実現に向けて活用しています。

高橋 イマイチな商品のランキングも可視化するのですね。「おしえて掲示板」についても教えてください。
宮本 こちらは、行きつけの店舗への要望から商品に関する疑問まで、何でも投稿できるコミュニティ型のサービスです。たとえば「中目黒店のタイムセール情報教えて!」というお客さまのコメントに対して、他のお客さまが「毎週月曜日と火曜日の14:00からタイムセールしていますよ!」といったコメントが寄せられます。お客さまに対する声をお客さまが解決することが重要で、良いプラットフォームになっていると思います。
コミュニティの観点では、マジボイス実現委員会を立ち上げています。お客さまからの要望などを即座にキャッチし、店舗や商品開発担当者、取引先にも共有し、お客さまの声を実現するためのハブの役割を担っています。また、マジボイス実現委員会として公式サイトを公開しており、そこで時系列に沿って対応の過程を公開しています。
お客さまの声に真摯に向き合うことで、「何でも言える」「何でも叶えてくれる」と認識してもらうことが重要です。そうした認識が広がることで、お客さまがマジボイスに積極的に投稿していくと考えています。