「Community Summit ~顧客起点で拓く、持続的成長への道~」レポート

ドン・キホーテ好調の裏側、会員1600万人の声を活かす「マジボイス」共創コミュニティへの挑戦

 

お客さまの声を実現するための基準


高橋 素晴らしい取り組みだと感じる一方で、お客さまの声に優先順位をつけて、改善していくだけでも大変だと思います。3つ目の「顧客の声の活かし方」も教えてください。

宮本 そこでは、お客さまからの声に対してどのように対応していくのか毎月「マジボイス実現委員会」という会議を設け、熱い議論をしています。

ここでmajicaの1600万人の会員が鍵となります。会員の売上、評価数、リピート状況など、majicaに登録いただいている情報を絡めて数値として共有しています。また、得られたコメントに対して、お客さまの指摘項目や感情を分析し、定量と定性の両面の結果を共有し、お客さまの声を実現するために社内で徹底的に議論します。

現在では、お客さまの声をもとに多数の商品を改善しています。たとえば、ラー油は「油が多すぎて、具が少ない」という声を受けて、原価やコストを考慮し試行錯誤しながら、具材の量を増加しました。からだ想いラップも「引き出しにくい」や「箱が潰れやすい」などの辛辣な声を受けましたが、切りやすい刃の形状や頑丈なパッケージに改良するなど、お客さまの声に真摯に対応しています。
  

高橋 ドン・キホーテとして、低価格を維持しつつ品質を向上させることへのこだわりが素晴らしいですね。
 

お客さまの“マジ”な声を通じた共創コミュニティ


高橋 今後、マジボイスはどのように発展していくのでしょうか。

宮本 マジボイスは開発当初、お客さまの声を真摯に受け止めて対応し、信頼度を高めることを目的にスタートしました。さまざまな議論を重ねる中で、1600万人の会員を抱える巨大なコミュニティであることが社内でも認識され、現在はファンコミュニティマーケティングの一環として、コミュニティの活性化に注力しています。

私の周囲でも「マジボイスはどんなサービスなの?」と聞かれることがあり、十分に知られていないと感じます。我々の目指す姿は、次のようなお客さまの“マジ”な声を通じてPPIHの未来を共に創る共創コミュニティです。
 
1. あなたが望むカタチへとお店を進化させるため、マジな声(マジボイス)が言え、真摯に対応してくれる場所
2. マジボイスは、お買い物に役立つ情報がいつでも、どこでも、手に入る場所
3. 迷ったら、みんなに気軽に聞ける、そして解決してくれる仲間がいる場所

この3つを叶えるために、現在さまざまな施策やUIの設計を進めています。将来的には、マジボイスで「何でも言えて、きちんと対応してくれる場」「本当に買い物に役立つサービス」として定着することを目指しています。

現在はPPIHの買い物のときに利用されることが多いですが、将来的には他の店舗での買い物のときにも活用できるようにしたいと考えています。たとえば、買い物のときにAmazonのレビューを確認するように、マジボイスで評価をチェックできたら便利だという発想です。

マジボイスはアプリ会員だけでなくサイトでも見ることができるので、日本全国のお客さまがマジボイスを利用し、企業の姿勢としても、お客さまの声を最大限に叶えていく場になればと思います。

また、我々はコメント投稿に対してインセンティブの付与を一切行っていません。よく「どうやってお客さまの声を集めているの?」と聞かれますが、そもそもドン・キホーテを愛するお客さまが一定数います。インセンティブなしでも毎月20万件の声が集まり、利用者数はリリースから1年半で約200万人にまで広がっています 。

我々の企業としての大切な考え方をぶらさず、しっかりとコンセプトを持ち続けることが重要です。愚直にコミュニティの活性化に向けて取り組んでいきたいと考えています。
  

高橋 お客さまの声を活かして事業を進化させたいと考える企業は多いですが、なかなか一歩を踏み出せないマーケターも少なくありません。そうしたマーケターへ、宮本さんから最後にメッセージをお願いします。

宮本 今後、人口減少に伴いお客さまの獲得が一層難しくなることは共通の課題だと思います。小売業にとって、お客さまなしに事業の発展はありません。PPIHの売上が2兆円を超えたのも、お客さまに愛される企業を目指してきたからだと感じています。

私自身、ドン・キホーテの店長時代に「企業が売りたいもの」ではなく、「お客さまが本当に求めているもの」を提供することの重要性を学びました。事業の成長には、お客さまの声を真摯に受け止め、それをもとに方向性を定めることが不可欠です。そのためには、お客さまの声を集める場=コミュニティの存在が必要です。ただ場をつくるだけでなく、お客さまが自然と集まり、意見を共有できる環境を整えることが重要だと思っています。

ぜひ、マジボイスを通じて「マジな声」を投稿し、体験してみてください。PPIHがどれほどお客さまの声を大切にしているかを実感していただけると思います。

高橋 本日はありがとうございました。
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