ダイレクトアジェンダ2025レポート #01

ベネッセと石井食品の取り組みから見る、生成AIの理想と現実【ダイレクトアジェンダ2025レポート】

 

テクノロジーを組み合わせ、新たな未来を


石井 ベネッセの「介護の匠」のお話は、まさしく「手触り感」をサービスに変えていく取り組みですよね。

橋本 ありがとうございます。ベネッセスタイルケアでは、独自の専門資格「マジ神」として、高い専門性と実践力を持つ「介護の匠」を育成しています。「介護の匠」と呼ばれる介護施設のベテランのスタッフは、他のスタッフではまったく気づかない、入居者の変化やちょっとした兆しに気づく第六感の持ち主です。彼らの判断をデータ化し、新人や若手職員のトレーニングに活用しています。

杉浦 これはまさに、石井さんもおっしゃっていたアナログ側のデータと本当の意味での顧客インサイトですね。

石井 これはどの会社にも必ずあるはずだと思います。
  

杉浦 社員のAI活用促進を進めていくためには、どういった取り組みが必要だと思いますでしょうか。

橋本 個人的な考えですが、「AIを使える人が、この先何をしていくか」が今後の大きな課題となるのだと思います。しかしごく稀に、ITと無関係だと思っていた社員から画期的な意見がでることもあります。

AIツールを活用すれば、たとえばスキルがない人でもデザインができる。それによって民主化が起き、多くのマーケターに活躍のチャンスができます。常に最先端を走り続けるか、AIを活用し広い裾野で活躍するか。今後は二極化する流れになると思いますね。

杉浦 最後に石井さん、皆さんにメッセージをいただけますか。

石井 今の橋本さんの話にも通じますが、逆に私は職人の時代が来たと思っています。「ブルーカラー」という言葉自体が死語となり、いわゆる「現場のベテラン職人」たちとたちと、AIをどう組み合わせて新しいサービスを生み出していくかが鍵となるでしょう。テクノロジーを組み合わせ、ワクワクする未来を一緒につくれたらなと思います。

杉浦 ありがとうございます。AI は魔法のツールではないので、1歩踏み出して前進していくことが、次の世代につながっていくと思います。
  

 本セッションのテーマであるAIの活用をさらに深掘りする場として、2025年5月27日に「AIマーケティングカンファレンス」が東京都内・ベルサール虎ノ門にて初めて開催される。ベネッセコーポレーション 専務執行役員 家庭学習カンパニー長の橋本英知氏もスピーカーとして登壇する予定だ。本カンファレンスでは「AIとマーケティングの交差点」をテーマに、AIとマーケティングのプロフェッショナルが登壇し、マーケティングを新たなステージへと導く場を目指す。
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